伊勢湾貧酸素情報
平成15年度貧酸素情報
(第2報)
平成15年7月8日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
湾奥部および湾中央部~湾口部にかけての三重県側海域では、底層の広い範囲で溶存酸素量2ppm以下の貧酸素水塊が分布。鈴鹿市~伊勢市沿岸の底層では特に低い酸素濃度を示し、1ppmを下回っていた。
7月7日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表面で21.6~23.4℃,10mで18.7~22.4℃,底層で17.6~20.4℃の範囲にあった。表面では湾全域で平年より低め,10mでは湾奥部~湾口部にかけての三重県側海域で平年並~低め,愛知県側海域でやや高め~高め,底層では湾奥部~湾中央部にかけての三重県側海域で平年並~やや低め,愛知県側海域で平年並~かなり高め,湾口部では平年並~やや低めであった。
塩分は表面で16.96~30.36,10mで29.90~33.13,底層で30.70~34.30の範囲にあった。表面では湾全域で平年より高め,10mでは湾中央部~湾口部の三重県側海域で高め,その他の海域で平年並,底層では湾全域で平年並であった。
DO(溶存酸素量)は,表面で5.9~9.5ppm,10mで1.1~7.1ppm,底層で0.2~6.1ppmの範囲にあった。表面では湾全域で平年よりやや低め,10mでは湾奥部~湾口部にかけての三重県側海域でかなり低め,愛知県側海域で平年並,底層では湾奥部及び湾中央部~湾口部の三重県側海域でかなり低め,湾中央部~湾口部の愛知県側海域で平年並であった。
今回の観測では,湾奥部四日市港周辺でやや水色が悪い海域がみられた以外,顕著な赤潮は確認されなかった。
今回の観測で,湾奥部及び湾中央部~湾口部の三重県側海域において,広い範囲で貧酸素水塊の分布が確認された。特に鈴鹿市~伊勢市沿岸の貧酸素化は顕著で,1ppmを下回る海域が広く分布していた。また,これらの海域では10m層の酸素濃度も低く,貧酸素水塊に厚みのあることが示唆される。7月の貧酸素水塊の規模としては,ここ数年になく大きい。貧酸素水塊が三重県側に偏って分布していることから,強い西風によって苦潮(貧酸素水塊が接岸する現象)が発生しやすい状況にある。すでに6月23日,7月2日に鈴鹿市沿岸や伊勢市沿岸で小規模な苦潮が観測されている。