伊勢湾貧酸素情報
平成14年度貧酸素情報
(第5報)
平成14年10月16日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
溶存酸素量2 ppm以下の貧酸素水塊は、依然湾奥部および湾中央部の三重県寄りの海域に分布している。
10月11日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表面で21.8~23.3℃,10mで22.7~23.8℃,底層で23.1~24.1℃の範囲にあった。表面では湾奥部で平年並,湾中央部~湾口部で平年よりやや高めであった。10mでは湾全域でやや高めであった。底層では湾奥部~湾中央部で高め,湾口部でやや高めであった。
塩分は表面で27.13~32.06,10mで30.65~32.40,底層で31.77~33.53の範囲にあった。表面では湾全域で平年より高め,10mでは湾全域でやや高め,底層では湾全域で平年並であった。
DO(溶存酸素量)は表面で6.1~10.6ppm,10mで5.5~8.4ppm,底層で0.5~6.9ppmの範囲にあった。底層では湾奥部で平年よりやや低め,湾中央部~湾口部で平年並であった。
今回の観測では湾奥部でやや水色が悪かったが,顕著な赤潮は確認されなかった。
DO2 ppm以下の貧酸素水塊は,依然湾奥部および湾中央部の三重県寄りの海域を中心に広く分布していた。15~16日にかけて通過した気圧の谷の影響で強い北西風が吹いたため,この貧酸素水塊が三重県側に接岸したもよう。16日には白子地先で酸欠により多くの魚介類がふらふら遊泳する様子が観察された。
11日の定線観測では,湾全域で表層と底層の水温差が小さくなっていた。上下層の混合が急速に進行しつつあるようで,今後,比較的早い時期に貧酸素水塊は消滅する見込みである。今しばらく注視する必要がある。