伊勢湾貧酸素情報
平成14年度貧酸素情報
(第4報)
平成14年9月4日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
溶存酸素量2 ppm以下の貧酸素水塊は、湾中央から愛知県寄りの海域を中心に分布。三重県側沿岸の貧酸素化は先月に比べて改善された。
9月3日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表面で26.8~29.5℃,10mで 25.1~26.7℃,底層で21.6~26.1℃の範囲にあった。表面では湾奥部で平年より高め~かなり高め,湾中央部~湾口部でやや高め~高めであった。10mでは湾奥部で高め,湾中央部~湾口部でやや高め~高めであった。底層では湾奥部で平年並~高め,湾中央部で平年並~かなり高め,湾口部でやや高め~高めであった。
塩分は表面で20.72~32.87,10・高ナ31.78~33.23,底層で31.60~33.87の範囲にあった。表面では湾全域で平年よりかなり高め,10mでは湾全域でやや高め,底層では湾奥部でやや高め,湾中央部~湾口部で平年並であった。
DO(溶存酸素量)は表面で6.8~12.4ppm,10mで5.6~7.2ppm,底層で0.1~5.8 ppmの範囲にあった。底層では湾中央から愛知県寄りの海域で低め,三重県寄りの海域で高めであった。
今回の観測では湾奥部の一部でノクチルカ(夜光虫)による赤潮が確認された。
度重なる台風の通過で,湾内底層における貧酸素水塊の規模縮小が期待された。しかし,今回の観測においても依然広い範囲で貧酸素水塊の分布が確認され,溶存酸素量が1ppmを下回る貧酸素化が特に顕著な海域の面積は,先月調査時よりもさらに拡大した。ただし,貧酸素水塊は湾中央から東側の愛知県寄りの海域を中心に分布するようになり,三重県側沿岸の貧酸素化は先月に比べて大きく改善された。
湾内の表層水温は高め傾向にあり,表・底層の水温差は大きく,依然強い成層状態にある。風向き次第では,湾内底層に分布する貧酸素水塊が三重県側沿岸に接岸してくる可能性もあり,今しばらくは注視する必要がある。