伊勢湾貧酸素情報
平成14年度貧酸素情報
(第3報)
平成14年8月8日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
湾奥部一帯および湾中央部~湾口部の三重県側沿岸の底層には,溶存酸素量2 ppm以下の貧酸素水塊が分布。前回調査時に比べ、貧酸素水塊は三重県側沿岸に偏って分布していた。
8月6日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表面で26.4~30.2℃,10mで22.1~23.7℃,底層で19.1~23.7℃の範囲にあった。表面では湾奥部で平年よりやや高め,湾中央部~湾口部の三重県側で高め~かなり高め,同愛知県側でやや高め~高めであった。10mでは全域で平年並~やや低め,底層では湾奥部で平年並,湾中央部~湾口部の三重県側で平年並,同愛知県側でやや高め~高めであった。
塩分は表面で24.19~30.19,10mで32.18~33.38,底層で32.34~34.42の範囲にあった。表面では湾全域で平年よりかなり高め,10m及び底層では全域で高めであった。
DO(溶存酸素量)は表面で6.2~9.3ppm,10mで3.3~5.8ppm,底層で0.3~6.0ppmの範囲にあった。底層では湾奥部で平年並,湾中央部~湾口部の三重県側で平年並~やや低め,同愛知県側で高めであった。
今回の観測では湾奥部で水色の悪い海域がみられたが,顕著な赤潮は確認されなかった。
別添の底層における塩分分布図をみると,高塩分(34以上)の外洋水が伊良湖水道から愛知県側の底層に沿って進入していることがわかる(図の矢印)。外洋水は酸素が多く含まれるため,進入の認められた湾中央部~湾口部の愛知県側では貧酸素状態が改善され,DOは4ppm以上を示した。一方,この外洋水の底層進入によって,これまで湾中央部に広く分布していた貧酸素水塊は湾の西側に押し込まれる形となり,とりわけ湾中央部~湾口部の三重県側沿岸では貧酸素化がより顕著になった。
現在,表層と底層の水温差は7~11℃あり,強い成層状態にある。しばらくは暑い日が続くと予想され,今後,貧酸素水塊の規模はさらに拡大する可能性が高い。