伊勢湾貧酸素情報
平成14年度貧酸素情報
(第1報)
平成14年6月6日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
伊勢湾中央部の底層には,広い範囲で3 ppm以下の低酸素水が分布。その面積は平年よりやや広い。
6月4日の調査船「あさま」の定線観測によると,水温は表面で21.0~22.9℃,10mで 17.2~19.5℃,底層で15.2~18.3℃の範囲にあった。表面では湾全域で平年よりやや高め,10mでは湾中央部の三重県側でやや低めの他は平年並,底層では湾全域で平年並であった。
塩分は表面で25.25~30.76,10mで31.93~33.14,底層で32.07~34.45の範囲にあった。表面では湾奥部~湾中央部で平年より高め,湾口部で平年並,10m及び底層では湾全域でやや高めであった。
DO(溶存酸素量)は表面で7.7~10.4ppm,10mで4.3~9.1ppm,底層で1.9~6.1 ppmの範囲にあった。底層では湾中央部の広い範囲で3ppm以下の低酸素水が分布し,平年に比べてその面積はやや広かった。
今回の観測では津沖及び湾口部一帯でノクチルカ(夜光虫)による赤潮が確認された。また,白子沿岸ではクラゲ(種不明)が濃密に分布していた。
昨年は5月から貧酸素化が進行し,6月中旬観測時点ですでに貧酸素水塊が湾中央部底層の広範囲で分布していた。しかし,7月に外洋水が伊良湖水道を通じて湾内底層に流入し,貧酸素水塊が一時的に崩れる現象がみられた。この影響で,その後,貧酸素水塊の規模は心配されたほど拡大しなかった。今年は,現時点において昨年同期ほど貧酸素化が顕著ではないものの,平年に比べてその進行はやや早い傾向にある。