伊勢湾貧酸素情報
平成13年度貧酸素情報
(第5報)
平成13年9月14日
三重県科学技術振興センター
水産研究部 鈴鹿水産研究室
湾中央部の底層には,依然DO2ppm以下の貧酸素水塊が広く分布している。
9月13~14日の調査船「あさま丸」による伊勢湾観測によれば,表面水温は25.1~26.0℃,10mでは24.9~25.3℃,底層では23.8~25.7℃の範囲にあった。表面では湾口部で平年並の他はやや低め,10mでは湾全域でやや高め,底層では湾全域で高め~かなり高めであった。 表面塩分は26.17~30.64,10mでは30.26~32.37,底層では30.51~33.57の範囲にあった。表面では湾全域でやや高め~高め,10mおよび底層では湾全域でほぼ平年並であった。
DO(溶存酸素量)は表面では6.8~11.6ppm,10mでは2.6~5.6ppm,底層では0.7~5.7ppmの範囲にあった。表面では湾奥部で高めの他は平年並,10mでは湾全域で平年並,底層では湾奥部で平年並~やや高め,湾中央部では平年並~やや低め,湾口部では平年並であった。
今回の観測では湾全域で水色が悪かった(スケレトネマを優占種とする珪藻の増殖による)が,顕著な赤潮は確認されなかった。
台風15号の通過で貧酸素水塊の解消が期待されたが,依然として湾中央部の底層の広い範囲で分布していた。海底上5~10m層に水温,塩分が急激に変化する密度躍層が形成されていた。これより上層ではほぼ一様の水温分布を示し,台風通過による上下混合の進行が示唆された。ただし,底層付近に分布する貧酸素水塊を消滅させるまでには至らなかったようである。
台風時の降雨により,河川から大量の有機物が伊勢湾内に運ばれたと思われる。また,現在,珪藻を主とする植物プランクトンが増殖中で,今後赤潮に発達することが予想される。これらが海底での酸素消費を促進させる可能性がある。前々年のように秋季に貧酸素水塊が発達した例もあり,今しばらくは予断を許さない。