マハタの種苗生産過程における仔魚の活力とその生残に及ぼす水温,照明およびフィードオイルの影響
水産増殖(2003年第51巻第1号49-54)
土橋靖史・栗山 功・黒宮香美・柏木正章・吉岡 基
内容
マハタの種苗生産過程における仔魚の活力を判定するために,無給餌生残指数(SAI)を測定した。仔稚魚の生残率向上を目的として,水温,照明,飼育水へのフィードオイル添加の影響について検討した。SAIと開口時生残率の間には強い正の相関が認められ(r=0.862,p<0.01),SAIは仔魚の活力判定指標として有効なことがわかった。孵化直後から日齢10までの仔魚の生残率は,水温では自然区(19.5~20.5℃)より25.0℃区で,照明では自然光区より自然光+人工光の昼夜連続区で,オイル添加試験では無添加区より添加区で,それぞれ高かった。これらの良い方の条件で,SAIが10以上の仔魚を大量飼育した時の日齢10の生残率は36.4~68.7%で,これは他の種苗生産機関から報告されている11.7~35.0%よりも高かった。