Susceptibility of cultured juveniles of several marine fish to the sevenband grouper nervous necrosis virus (数種の海産種苗のマハタ由来神経壊死症ウイルスに対する感受性)
Journal of Fish Diseases 掲載論文(英文)2003, 26, 109-115
田中真二・栗山 功(三重科技セ)・中井敏博(広大生物生産)・
宮崎照雄(三重大生資)
Abstract和訳
魚類ノダウイルス(ベータノダウイルス)は仮分類として4つの遺伝子型(SJNNV, RGNNV, TPNNVおよびBFNNV)に分けられており,これらの遺伝子型毎に宿主特異性の異なることが示唆されている。本研究では,RGNNV型(暖海性魚類由来のベータノダウイルスのほとんどがこの型に含まれる)のベータノダウイルスの一つであるマハタ由来神経壊死症ウイルスについて,数種の海産魚の人工生産種苗に対する病原性を検討した。浸漬法(10の5.1乗TCID50mL-1)によりウイルス攻撃した結果,マハタ,ヒラメおよびトラフグでは行動異常と死亡が確認され,病魚の中枢神経組織と眼球網膜において顕著なウイルス性神経壊死症(VNN)の病理組織学的特徴と免疫染色陽性細胞が確認された。浸漬感染を受けたカサゴおよびマハタ×クエの交雑魚では試験期間中行動異常や死亡は見られなかったものの,多くの生残魚で神経細胞における軽度のウイルス感染の病徴が確認された。クエとマダイではウイルスを感染させても行動異常,死亡,免疫組織学的な変化のいずれも全く確認されなかった。これらの結果はRGNNVの自然宿主範囲と一部異なっており,このことはベータノダウイルスの宿主特異性が複雑であることを示唆している。