高塩分処理を利用したアマノリ赤腐れ病抑制手法の検討
水産増殖第49巻第1号77-83(2001年3月)
坂口研一(三重科技セ水)・柿沼 誠・天野秀臣(三重大生資)
内容
アマノリ赤腐れ病病害抑制を目的として,活性処理と低温,低pH条件を加味した高塩分活性処理とで効果を比較した。その結果,両手法ともある程度の病害抑制効果が認められた。両手法の効果を比較すると塩分15%,処理温度-5℃,pH1.63での高塩分活性処理のほうが病害抑制効果と葉体の生長の両面でやや良好なものがみられたが,全体的には活性処理と比べて抑制効果に顕著な差はみられなかった。赤腐れ病病原菌の遊走子が高濃度に存在する場合には通常の活性処理を行っても病害が蔓延すること,また低温,低pH下における高塩分活性処理で著しい効果がみられなかったことから,活性処理後に高塩分海水処理を実施する病害抑制手法を検討した。その結果,赤腐れ病病原菌の遊走子が高濃度で存在する場合には週1回の活性処理とその後1回の高塩分海水処理を併用することで,著しい病害抑制効果がみられた。