飼育環境下におけるイセエビ属エビの幼生の成長と脱皮リズム
日本水産学会70周年記念シンポジウム(2001年10月1日~5日)
松田浩一・竹内泰介・山川卓(三重科技水)
内容
日本に生息する6種のイセエビ属エビのうち3種(イセエビ、カノコイセエビ、シマイセエビ)のフィロゾーマ幼生について、ふ化からプエルルス幼生に変態するまでの飼育に成功した。飼育方法は、小型ガラス水槽を用いた止水式で、餌料としてアルテミアとムラサキイガイ生殖腺を与えた。飼育水温は24~26℃とした。 飼育の結果、これら3種のフィロゾーマ幼生の期間には大きな違いが認められず、おおむね9ヶ月程度であることが明らかとなった。また、フィロゾーマ幼生の期間中、約2週間に1度の頻度で脱皮を繰り返し、総脱皮回数は24回から28回であった。 イセエビのフィロゾーマ幼生を用いて脱皮の時刻を調査したところ、フィロゾーマ幼生の脱皮は日の出前後に起こり、一方プエルルス幼生への変態は日没前後に起こることが分かった。また、蛍光灯を用いた人工照明下でフィロゾーマ幼生を飼育したところ、脱皮は蛍光灯の点灯時、変態は消灯時に起こった。このことから、人工的に明暗周期を調整することによりフィロゾーマ幼生の脱皮と変態の時刻を変化させることができることが明らかとなった。