放流方法と親の由来がアマゴ稚魚放流効果に与える影響
平成13年度日本水産学会春季大会講演要旨(2001年4月1日~5日)
宮本敦史(三重科技水)・久保田正志・原田泰志(三重大生物資源)
目的
アマゴの稚魚放流は盛んに行われているが,必ずしも放流効果を考慮した放流は行われていない。また,放流に用いる種苗は養殖場内で継代されたものである場合が多くなっている。そこで,放流方法及び種苗の由来によって放流効果に差があるかどうかを検討した。
方法
1999年6月と2000年7月の2回,三重県宮川水系カラスキ谷にアマゴ稚魚2000尾を1000尾は1箇所に集中放流,残る1000尾は250尾ずつ4箇所に分散放流した。2000年1月,7月,10月の3回,エレクトリックショッカーによる採捕調査を行った。また,2000年7月には同水系八知山谷に継代養殖魚を親に用いた稚魚(継代魚)500尾と,天然雄と継代養殖雌を交配させて得た稚魚(交配魚)500尾を同一地点に放流し,同年10月に採捕調査を行った。
結果
集中放流群と分散放流群では放流後の成長に差はみられなかったが,歩留まりについては差の存在を示唆する結果を得た。また,分散放流群の方が調査水域にむらなく分布した。継代魚と交配魚では放流・繧フ成長に差はみられなかったが,歩留まりは交配魚の方が良好であった。また,交配魚は多くが放流地点より上流側で採捕されたのに対し,継代魚は下流側で多く採捕された。以上より,放流方法及び種苗の由来によって放流効果に差が生じることが示唆された。