三重県水産研究に100年(創立百周年記念誌)
目で見る100年
尾鷲支場の開設
本場の移転新築のあとをおって、尾鷲支場(尾鷲町大字南浦字名月セギノ山)が昭和8年10月27日竣工式を挙行した。(業務開始は8月15日)『この日空玲瓏と晴れ渡り、波いと静かにして尾鷲堤防に打ち上げられし第一号砲は、この栄えある日の旭に輝き・・支場竣工の門出を心より祝福する』(「時報」)ようだった。餅撒きが行われ6~7百人の市民が集まったという。この竣工式での早川三郎三重県知事の式辞は、尾鷲支場の意義を述べている。 |
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「(前略)近海漁業ハ漁村維持ノ根底ヲナスモノニシテ之レガ消長ハ漁村ノ盛衰ニ至大ノ関係ヲ有ス。殊ニ外海ニオケル斯業ノ地位ハ本県水産業ニ重キヲナシ持ニ定置漁業ノゴトキハ、全国屈指ノ漁場トシテ恵マレソノ漁獲高ハ遂年増加シツツアリテ之ガ開発ハ忽緒ニ附スベカラズ、尚ソノ他・・広大ナル外海ニオケル斯種漁業ヲ目的トスル試験調査及指導ノ現地機関ヲ設置スルハ極メテ緊切ノ要務ト認メル」 |
昭和8年度の事業として「珊瑚漁業調査」「鰤定置漁場細密調査」「底延縄其他沿岸漁業試験調査」「雑魚利用製造試験」をあげていて、定置漁業に大きな力点がおかれている。
敷地面積は1,269坪9合、総建築面積は468平方米90。建設費総額2万5千円うち2万円は北牟婁郡水産会が寄付した。専用調査船・神路丸11トン81。同年3月30日竣工。