三重県水産研究に100年(創立百周年記念誌)
目で見る100年
アワビの成長調査始める
昭和5年8月からアワビの成長調査が始まっている。「時報昭和6年6月」それによると、菅島漁業組合で養成試験のため採り、禁漁区へ放流した3千個のアワビのうち少数に標識を付け、1年、2年後に再捕してその殻の長さを測定する方法をとっている。面白いのは「標識」で、番号を記したガラスの小片を歯医者さんが使う医用のセメントで貝殻に密着させた。
さて、その結果は、翌6年6月、9ケ月半で体重で倍以上の成長が見られ、さらに翌々年6月では放流時の4倍になっていた。「稚鮑を愛護すれば当業者自身がいかほどの利益をうけるか、それを示す好資料であると思う」と時報(昭和7年26号)は書いている。昭和8年33号では「海女漁業に『漁期の短縮』を提唱す」とアワビ資源保護の提案をしている。