三重県水産研究に100年(創立百周年記念誌)
目で見る100年
三重水試はじめての発動機船・三水丸進水
明治43年6月8日、三重県水産試験場の初めての発動機付き漁労試験船「三水丸」は大湊の市川造船所で進水した。総トン数17トン。帆船に25馬力の発動機を載せた。造船費6,460円、農商務省(国)が1,000円の補助金を出した。乗組員23名。6月23日初めて出漁した。
三水丸造船の大きな目的は、カツオ漁場の発見、安全な操業、燃費など経費の節約を考え、漁業者に模範的な造船を示すことにあった。また、その後、マグロ漁場の発見やサンマ漁業の指導などにも広く使われた。
すでに明治44年における発動機付き漁船の数は、静岡県の298隻に次ぎ三重県は160隻で2番目になった。
大正11年には、三水丸によりカツオ巻網(一艘・巾着網)の試験やイワシ巻網(繰網)に「ターンテーブル」(巻きあげ機)を据えての試験をおこなっているが、いずれも三水丸が17トンと小さすぎることを嘆いている。伊勢湾内で小型底引網の試験操業にも使われたが、大正15年6月には老朽化が著しく使用に耐えられなくなり廃船にした。
機帆船三水丸が帆を張った姿
岸壁にもやった三水丸
ターンテーブル試験中の三水丸