三重県水産研究に100年(創立百周年記念誌)
目で見る100年
発動機付きカツオ船・南島丸
明治35、36年になるとカツオ釣り船に発動機を搭載する試みが行われるが、三重県では宿田曽村の山本新太郎が、明治40年7月に西洋型(ケッチ型・大湊市川造船所)16トンに15馬力の発動機を積んだのを最初としている。
その南島丸を明治41年、三重県水産試験場が借りて操業試験をはじめ、翌年には試験場へ委譲された。この試験操業結果は明治41年「石油発動機付漁船鰹漁労試験報告」にまとめられている。それによると、不便な点もあるが、便利な点が多く早晩カツオ釣り漁船は発動機付きになるだろう、としている。また、明治43年の報告書では、明治41年には南島丸のほか慥柄丸、第一神津丸が操業を始めており、翌年42年には操業するもの65隻に急増している。発動機付きカツオ船は無動力船に比べて倍以上の漁獲をしているが、まだ造船費も高い上、石油と機械油などに多大の出費がかかるので、改善の余地は多いと報告している。
宿田曽村(現・南勢町)の山本新太郎が三重県ではじめて発動機関をつんだ南島丸をつくった。