三重県水産研究に100年(創立百周年記念誌)
目で見る100年
三重県水産試験場の開設
明治32年5月2日、三重県水産試験場は県庁内に設置され、業務を開始した。県立としては明治27年の愛知県、明治31年の福岡県についで3番目だった。最初の仕事は試験場をどこに置くかであったが、熱心な誘致があって、本場を志摩郡浜島村(現浜島町)に決定、とりあえず民舎(区会所)を借りて事務所とすることとし、10月31日、この仮場舎に移転した。
本場舎は2年後の明治34年3月完成した。場所は浜島村大字浜島1782番地。敷地面積は1606坪。建物は木造2階建て128坪、1階には製造室、事務室など、2階は陳列室であった。
明治34年3月に完成した当時の三重県最初の水産試験場庁舎
「水産試験場設立理由及其顛末」(明治32年度事業報告)には次のように書かれている。
『(前略)明治三十二年末ノ統計ニ依レバ漁業者ノ戸数ハ一寓三千八百八十九戸、人口六寓〇七百十六ニシテ之ヲ本縣人口百寓四千九百五十八ニ比スレバ僅二廿(二十)分ノ一、ニ過ギズ、而シテ其漁獲物総額ハ二百十九寓八千七百九十三圓ニシテ之ヲ人口ニ配分スル時ハ尚ホ収利ノ不足ナルヲ感ズ。故ニ今後益々斯業ノ振興ヲ期シ国富ノ増進ヲ圖ラントスルニハ其方法手段夥多アリト雖特ニ水産試験ヲ設ケ学理ヲ應用シ實地ニ試験ヲ行ヒ漁法ノ精ヲ究メ漁具ヲ撰ビ水族ノ保護蕃殖及人工育養等ヲ謀リ水産物製法ノ精密ニ勉メ之ヲ海外ニ諮ヒ之我国ニ詢リ新術良法ヲ縣下ニ報ジテ普ク当業者ニ知悉セシメ漸ク其業ヲ且大ナラシムルノ必要ナルヲ認メ沿海適当ノ場所ヲ撰ビ試験場ヲ設立スルニ決定シタリ』
初代場長・菖蒲治太郎 |
現在は水産技術センター庭に 移された創設時の記念碑 |
大正2年ころの庁舎、門が出来ている
庁舎の前でカツオ節干しをしている作業員