県内でナラ枯れが発生しています
県内、とくに中勢・伊賀地域でナラ・カシ・シイ類の集団枯損(以下、ナラ枯れ)が発生しています。林業研究所では、ナラ枯れ被害地域の推移を調査してきましたので報告します。
写真-1 北勢地域で発生したナラ枯れの状況
1.ナラ枯れとは
ナラ枯れは、カビの仲間の一種(Raffaelea quercivora、通称「ナラ菌」)による伝染病で、カシノナガキクイムシ(以下、カシナガ)(写真-2)によって木から木へ運ばれます。カシナガが樹幹の辺材部に孔道(トンネル)を掘る(写真-3)際に、ナラ菌が木の内部に侵入します。ナラ菌の作用によって導菅での樹液流が停止し、最終的に枯死に至ります。
写真-2 カシノナガキクイムシの成虫(左:メス、右:オス)
写真-3 カシナガが孔道(トンネル)を掘る際に排出される木くず
2.ナラ枯れ被害分布の推移
県内におけるナラ枯れ被害分布の推移をみてみましょう。三重県では1999年に熊野地域で初めてカシ・シイ類の枯死が確認されました。その後、しばらくの間被害は収まっていましたが、2007年から2009年にかけて熊野灘沿岸地域一帯でウバメガシ等の被害が発生しました。一方、北勢地域でも2007年頃からコナラの被害が確認され始めました。被害は年々南下し、2013年には津市でコナラの枯死が確認されました。2015年に松阪市でも被害が確認され、現在、被害が確認されていないのは明和町だけとなっています(森林の存在しない木曽岬町、川越町を除く)。
3.ナラ枯れ被害対策に関するマニュアルについて
林野庁、国立研究開発法人森林総合研究所が、枯れのメカニズムや被害対策方法をとりまとめたマニュアル・パンフレットを作成しています。被害対策を実施する際に、参考としてください。
1.林野庁マニュアル
2.森林総合研究所関西支所パンフレット
「ナラ枯れの被害をどう減らすか-里山林を守るために-」(森林総合研究所関西支所HPへ)
3.森林総合研究所マニュアル
「ナラ枯れに立ち向かう-被害予測と新しい防除法-」(森林総合研究所HPへ)
「ナラ枯れ防除の新展開-面的な管理に向けて-」(森林総合研究所HPへ)