スギ、ヒノキの樹皮剥ぎ被害を減らす方法は?
林業研究所では、樹皮剥ぎ被害を軽減できる資材の検索と効果の検証を行っています。なお、樹皮剥ぎ被害対策は、根張りからの樹皮剥ぎを対象としています。角こすりに伴う樹皮剥ぎ被害に対しては、別途対策が必要です。
造林事業の補助金を申請する場合は、補助金の採択要件を満たす必要があります。必ず、事前にお近くの農林(水産)事務所森林・林業室にご相談ください。
1.ポリエチレンネットの巻き付けによる被害対策
市販のポリエチレンネット(網目40mm、黒色)を根張りを含めて樹幹に巻き付けることで、根張り部分からの樹皮剥ぎ被害を軽減することができます。
資材設置67ヶ月後の累積本数被害率は、ポリエチレンネット(PEネット)処理で1.8%、亀甲金網処理で24.5%、無処理(資材巻き付け無し)で21.8%でした。
スギ、ヒノキ1本あたりの資材費
・ポリエチレンネット: 約420円(1m使用の場合)
・結束バンド: 約30円(5本使用の場合)
・固定アンカー: 約60円(3本使用の場合)
2.伸縮性ポリエチレンネットの巻き付けによる被害対策
上記のポリエチレンネットよりも安価で伸縮性のあるポリエチレンネット(網目20mm、白色)を根張りを含めて巻き付けて、樹皮剥ぎ被害を軽減することも可能です。
資材設置50ヶ月後(調査地A)、49ヶ月後(調査地B)の累積本数被害率は、伸縮性ポリエチレンネット処理で7.1%(調査地A)と17.4%(調査地B)、無処理(資材巻き付け無し)で45.2%(調査地A)と60.5%(調査地B)でした。
スギ、ヒノキ1本あたりの資材費
・伸縮性ポリエチレンネット: 約200円(1m使用の場合)
・結束バンド: 約30円(5本使用の場合)
3.ポリ乳酸製テープの巻き付けによる被害対策
ポリ乳酸製テープを根張り上部に2周程度巻き付ける方法で、樹皮剥ぎ被害の樹幹部への拡大を防ぐことができます。
設置13ヶ月後の累積本数被害率は、根張り部分のみの被害はポリ乳酸製テープ処理で7.3%、無処理(資材巻き付け無し)で34.2%でした。また、根張りから樹幹まで拡大している被害はポリ乳酸製テープ処理では確認されず、無処理(資材巻き付けなし)で10.5%でした。
スギ、ヒノキ1本あたりの資材費
・ポリ乳酸製テープ: 約10円(2m使用の場合)