全自動野菜移植機を利用したツツジ類のセル成型苗移植
[要約]
ツツジ類生産における定植作業の省力・軽作業化のため、全自動野菜移植機を改良して、セル成型苗を移植する技術を開発した。一畝多条用移植機を使えば一畝4条で条間約30cmに移植できる。
[背景・ねらい]
本県は、全国有数の三重サツキ等ツツジ類産地であるが、耕起、運搬等の機械化が進んでいるものの掘り取り作業と並んで労力を必要とする定植作業は手作業に頼っており機械化がほとんど進んでいない。手作業による定植作業は前屈みの連続であり機械化が強く望まれている。そこで、ツツジ類の機械定植技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 15~20cm程度の苗を移植するため、移植機の開孔部を45mm延長した(図1)。
- 育苗期間が長いので根部が密生状態になり、トレイからの抜き取り抵抗が大きくなる場合があるため、抜き取り精度を向上させるためプッシュロッドを設置した。長さを20mmから23mmに、径を6mmから9mmにしたところ、抜き取り精度はほぼ100%に向上する(表1)。
- 移植精度は、樹高15cm、幅約5cmの三重サツキを用いた場合、標準開孔器でも植え付け深さ3cm、正常植苗率95%であった。草丈20cm程度の大きな苗では、標準開孔器の時の正常植苗率60%に対し、開孔器を延長することで、正常植苗率は約90%となる(表2)。
- スライド式の一畝多条用移植機を使用すれば、2往復で、一畝4条の移植が可能である。栽植密度は、条間約30cm、株間24~48cmにすることができる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 使用する苗は、30mm角・深さ45mm128穴の標準トレイに挿し穂し、移植時の樹高約15cmの苗が望ましい。
- 新芽が展開し過ぎないうちに移植する必要がある。