水稲の育苗施設用苗運搬機
[要約]
水稲育苗センター等における育苗台車の施設内移動の省力化・軽作業化及び運搬時の安全性を確保した2種類の運搬機を開発した。1つはゴルフカートを改造したものでもう1つは育苗台車用の牽引フックを考案しバッテリー牽引車に装着したものである。
[背景・ねらい]
水稲育苗センターでは、育苗台車の移動に2~4人を要している。約550kgの重量の育苗台車を数多く移動させるため相当の労力が必要となり、傾斜や段差などがあると作業能率が低下し労働強度も高くなる。また、台車のキャスターに足を挟まれてけがをする等事故の危険がある。そこで、安価で実用性の高い育苗施設内での育苗台車運搬機を開発し省力化・軽作業化と安全確保を図る。
[成果の内容・特徴]
- ゴルフカートを改造した運搬機(改造運搬機)は、台車を後方から押していく方式である。運搬機と台車は運搬機の連結枠を下げた状態で台車に接触させてから引き上げると台車のフレームに連結する。さらに、連結部は、運搬機の乗用ステップとリンク機構で接続しており、運転者がステップに乗れば連結枠が上がり連結する機構を持たせている。操舵は丸ハンドルにより行い、スイッチによって走行速度、前後進を切り替える(図1、3)。
- 牽引フック利用の運搬機は、考案したフックを既存のバッテリー駆動牽引車に取り付け、台車を牽引運転するものである。連結方法は台車の下部フレームをすくい上げる方式とした。牽引式のためスムーズに旋回できるよう、また連結時に台車と牽引車が一直線上になくても連結ができるように、連結部をピンで接続し、バネを用いたセルフセンタリング機構を用いている。連結操作は、操作レバーにより簡単に行える(図2、4)。
- 育苗箱を96箱満載した緑化苗台車を運搬する場合、人力では2~4人必要であったが、運搬機を用いることにより、1人で出来るようになった。作業能率は、改造運搬機が連結時間10.0秒、運搬速度1.1m/秒で、牽引車が連結時間10.7秒、運搬速度1.0m/秒であった(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 運搬作業が1人ででき省力化・軽作業化につながる。
- 牽引フックは、フレームの構造を変えることにより、他の牽引車への適用が可能である。