1.施設栽培のトマト、イチゴで発生する病害虫や天敵に対する電解機能水利用への試み
冨川章・大久保憲秀・北上達・黒田克利
塩化カリウムを添加した蒸留水を電気分解し、強酸性水と強アルカリ性水を製造し、強酸性水を使ってトマトの灰色かび病、同葉かび病、同うどんこ病、いちごうどんこ病に対する防除効果を調べた。強酸性水を散布した時、トマト灰色かび病菌分生子では発芽阻害が、またイチゴうどんこ病菌では分生子および菌糸組織が収縮により消滅することが観察された。強酸性水を圃場で散布した時、トマト、イチゴのうどんこ病に対する防除効果は高く、トマト灰色かび病では防除に有効であった。強酸性水を使って、ワタアブラムシ、ミナミキロアザミウマ、ナミハダニ、シルバーリーフコナジラミ、トマトサビダニへの影響を調べた。さらに天敵であるオンシツツヤコバチ、ハモグリコマユバチ、イサエアヒメコバチ、コレマンアブラバチ、ショクガタマバエ、チリカブリダニ、ナナホシテントウへの影響を調べた。強アルカリ性水を使って、ワタアブラムシ、ミナミキロアザミウマ、カンザワハダニ、トマトサビダニへの影響を調べた。強酸性水処理はトマト葉かび病、害虫、天敵に対する効果はなかった。強アルカリ性水処理は、殺虫・殺ダニ効果はなかった。トマト、イチゴに強酸性水を散布したところ、トマトでは葉に局部的な白斑症状、果実にそうか症状を生じたが、イチゴでは傷害は認められなかった。