みえのニューライス「みえのえみ」の概要について
1)背景・ねらい
本県では県独自ブランド米になり得る早生優良品種の育成要望が以前から強かった。また品種の作付においては「コシヒカリ」のシェアが高く、県産米の品質低下の要因となっている。そこで早場米生産県としての地位を確立し、かつ「コシヒカリ」への過度の集中を緩和するための早生の良質・良食味品種を育成し、普及を図る。
2)成果の内容・特徴
- 「みえのえみ」は早生、良質、良食味を育種目標に、平成2年「山形41号」を母とし、「東北143号(ひとめぼれ)」を父として交配し、その後代から育成された。平成9年の世代はF7である。平成10年1月、奨励品種に採用するとともに、翌2月、三重県職務育成品種として品種登録出願した。
- 「あきたこまち」に比べ出穂期は3~4日、成熟期は1~3日遅い。
- 稈長は「あきたこまち」より3cm程度短いが、耐倒伏性は同程度の「中」である。穂長は5~10mm程度長い。穂数は「あきたこまち」と同程度で、草型は中間型に属する。
- 葉いもち抵抗性は「中」、穂いもち抵抗性は「強」である。また耐冷性は「やや強~強」で、「あきたこまちよりも強い。
- 玄米千粒重は「あきたこまち」と同程度である。また、外観品質は「あきたこまち」より良好である。
- 収量は「あきたこまち」より多収である。
- 食味は「コシヒカリ」並の極良である。
3)成果の活用面・留意点
- 平成10年は種子増殖、平成11年から一般に普及(本年度作付面積:250ha)。
- 普及地帯は伊勢湾平坦部の早場米地帯、特に「コシヒカリ」の作付比率の高い地域。
- 耐倒伏性が「中」であるため多肥を避け、適期刈りを行い高品質、良食味米の生産に努める。
- 「コシヒカリ」に比べ出穂期が早いため、鳥害回避の点から極力作付の団地化をはかる。