中晩生かんきつの新品種「みえ紀南2号」を登録申請しました
1.現状・背景
三重県東紀州地域は温暖な気候を活かしたかんきつ栽培が盛んで一次産業の中でも重要な位置を占めています。しかし、かんきつ類の消費量の減少に伴い生産者の経営は厳しい状況が続いており、特に中晩生かんきつ類の主体である「甘夏」等に代わる新たな品種を育成し、これを利用した高品質・高単価な商材の開発により農家経営の安定化、産地の維持発展が強く求められています。
2.新品種の特徴
1992(平成4)年に中晩生かんきつである「アンコール」に「森田ポンカン」の花粉を交配し、糖度が高く、優秀な品種であることを確認しました。果実は、親の「アンコール」と比較して成熟期が早く、1月20日から3月10日頃であること(「アンコール」:11.6度(3/22)、「森田ポンカン」と比較して果径が扁平で果径指数(横径/縦径)が142と大きいこと(森田ポンカン):130)。これらのことから、「アンコール」と「森田ポンカン」に比べ果実品質も優良な交雑系統として品種登録の出願に至りました。
表1「みえ紀南2号の果実特性」
調査日 | 果実重 (g) |
果形 指数 |
果肉 割合 (%) |
果皮色 | 糖度 (%) |
クエン酸 (%) |
含核数 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
(カラー チャート) |
完全 (個) |
不完全 (個) |
||||||
平成18年1月24日 | 124 | 127 | 74.0 | 8.2 | 13.4 | 1.53 | 4.6 | 1.4 |
平成18年2月23日 | 143 | 124 | 72.0 | 7.6 | 12.9 | 1.40 | 5.4 | 0.2 |
平成18年3月16日 | 142 | 130 | 75.0 | 7.0 | 13.8 | 1.05 | 2.8 | 0.5 |
平成19年1月18日 | 189 | 142 | 75.6 | 9.6 | 13.0 | 1.01 | 13.5 | 0.5 |
平成19年2月19日 | 178 | 133 | 72.9 | 8.7 | 14.5 | 0.97 | 12.2 | 2.4 |
平成6年4月「青島ウンシュウ」中間台木に接ぎ木1樹(原木)
特徴
熟期 | 1月下旬~3月上旬 |
果皮色 | 濃橙色 |
平均果重 | 140~170g |
糖度 | 13~14% |
酸度 | 0.9~1.1% |
果汁 | 多汁 |
種子 | 多 |
3.写真
写真1 みえ紀南2号の原木 (平成19年1月18日) |
写真2 みえ紀南2号の果実 (平成15年12月18日) |
4.栽培上の留意点
陽光面の退色が見られるため袋かけが望ましい。
平成19年10月30日に品種登録の出願をしました。
三重県農業研究所
紀南果樹研究室
市ノ木山浩道
連絡先
電話:05979-2-0008
FAX:05979-2-2679
電子メール:nougi@pref.mie.jp