昭和36年に石室内から遺物が取り出され、その後、昭和42年に阿児町教育委員会や三重大学歴史研究会が中心となって発掘調査が行われています。石室内には、銅鏡や鉄製の武器類、鉄斧などの工具類が副葬されていました。また、被葬者の頭を載せたとみられる埴輪質の枕も出土しています。
注目されるのは石室の形態で、九州地方の横穴式石室との共通性が認められます。したがって、この古墳を築造した集団は、九州地方の集団と強いつながりを有していたと考えられます。また、おじょか古墳付近からは、太平洋の航路が一望できます。こうした古墳に葬られた人物は、志摩地域の海人集団を率い、海上交通において活躍した有力者ではないかと推定されます。

石室の入口
おもな時代:古墳時代中期
遺跡の所在地:志摩市阿児町志島
発掘調査報告書:『おじょか古墳(志島古墳群11号墳)発掘調査報告』
(志摩市教育委員会発行・2016年)