7月9日(火)に、「総合的な探究の時間」の放課後学習として津高等学校の1・2年生9名を対象に出前授業を行いました。
今回の授業では2学期から始まるグループでの探究活動に向けて、探究テーマを決める上での参考にしてもらうことを目的に「考古学とはどんな学問か」というタイトルで考古学の魅力や方法論についての解説と、遺物を観察して考察する体験活動を行いました。
最初に遺物の見方についての基本的な視点を講義した後、石薬師東古墳群(鈴鹿市)、天童山古墳群(伊賀市)、平林古墳群(松阪市)から出土した須恵器を観察し、遺物の時代順を判断することに挑戦しました。生徒は真剣なまなざしで遺物を観察し、はそうの器高に注目した意見や、提瓶(ていへい)の突起(耳)に注目した意見が出されるなど、仲間と対話をしながら考えを深めていました。
授業の後半では観察した須恵器の変化と編年についての解説を行い、その後、学校近くの納所遺跡の遺物を観察、納所遺跡の特徴とその重要性について解説しました。最後に、考古学と現代社会の関係性について触れるとともに、考古学的な探究テーマ例を紹介して授業を終わりました。
授業終了後もほとんどの生徒が教室に残り、講師への質問や、講義を踏まえての遺物観察を熱心に行っていました。また、中学生の時に地元の歴史に関心を持ち、自分で学習を行ってきた生徒からは、今後の研究の進め方についての質問もありました。
8月には同じく探究活動の一環として津高等学校1・2年生の希望者を対象に「津城フィールドワーク」を行う予定です。埋蔵文化財センターでは今後も探求テーマ設定のきっかけになるような講義や、研究の進め方についての助言、遺物や調査データの閲覧等を通じて、学校教育での探究活動を支援していきたいと考えています。
授業の様子① 授業の様子②
授業の様子③ 紹介した納所遺跡の遺物