5月8日(水)に、三重県立相可高等学校1年生の「総合的な探究の時間」で出前授業を行いました。相可高等学校は地元である多気地区の探究をテーマに学習を進めています。今回は昨年度に引き続き、探究テーマを設定するために「多気という場所を知る」ことを目的とした講演依頼をいただきました。そこで、「多気の歴史と探究活動への視点」と題するスライドを作成し、相可高校敷地内や多気町内から出土した土器、縄文・弥生時代の食事レプリカ等を持参し教室に展示して講義を行いました。
最初に相可高等学校の食物調理科調理実習棟建設時の発掘調査を例に、文化財の調査、保存について話した後、相可高校近隣の縄文時代の遺跡である新徳寺遺跡、鴻ノ木遺跡の遺物を紹介しました。その後、新徳寺遺跡から出土した辰砂(しんしゃ)原石を紹介し、丹生の水銀鉱山と、水銀を加工した伊勢白粉(いせおしろい)に触れ、松坂商人の内、最も早く江戸に進出を果たした櫛田川グループ(射和商人:いざわしょうにん)を紹介しました。
最後に相可に在住されていた本草学者、西村広林や射和に在住されていた竹川竹斎と射和文庫などについて解説し、古くからこの地域が豊かな歴史や文化を有していることについて学ぶとともに、この探究活動をきっかけに、自分の住むそれぞれの地域の歴史文化についても関心を持ってほしいと伝えました。講義形式の授業ではありましたが、質問に挙手して答えるなど、生徒は積極的に授業に参加してくれていたように思います。
三重県埋蔵文化財センターでは、保管している県内出土の遺物や調査データを活用し、歴史の教科学習や、高等学校の「総合的な探究の時間」、小中学校の「総合的な学習の時間」等の探究活動を支援しています。学習内容は担当の先生方と相談しながら考えていきます。三重県の貴重な財産を、ぜひ授業でご活用ください。