11月5日(日)、19日(日)の二日間、なんでも実験考古学「台付甕をつくってみよう」で参加者が作成した台付甕の焼成と、炊飯体験を行いました。
5日は野焼きでの焼成を行いました。焚火で土器を温めた後、薪の上に土器を置き、その上に木材をトーチ状に組み上げて火をつけました。着火から約40分で上部の木材は焼け落ち、土器が現れます。その後は熾火(おきび)の状態で燃焼が続き、開始から約2時間で焼成が完了しました。
今回の焼成で破損した土器は無く、仕上がりの状態も良好でした。昨年度から土器焼成を重ねてきたことで、スタッフの経験値も上がり、ノウハウの蓄積がされてきたように感じています。
19日は完成した台付甕を使用して、屋外での炊飯体験を行いました。当日は保護者を含め、小学生から70代の方まで、20数名が参加されました。
使用するお米は古代に食べられていたと考えられている黒米と赤米を準備しました。参加者は自分で制作した台付甕を使い、薪を使っての炊飯に挑戦。それぞれに工夫して薪を組み上げたり、一生懸命に団扇(うちわ)で空気を送ったりと、火おこし、炊飯を楽しんでいらっしゃいました。途中、様子を見ながら水を継ぎ足すなど手間をかけて全員がご飯を炊き上げることに成功しました。
その後、学習室に移動し、炊き上がったご飯の試食をするとともに、県内の遺跡から出土した弥生時代の水田跡や、米の種類と伝播ルートなどについて紹介し、古代の生活に思いを馳せました。
事後アンケートでは参加者全員が「とても楽しかった」と回答されました。また、「実際に薪で炊飯したことで、土器にどのように煤(すす)がつくのかよくわかった」との声もいただきました。学習室内に展示してあった津市や松阪市の遺跡から出土した台付甕と同じような煤跡が、今回の参加者が使用した甕にもついており、大変興味深い結果となりました。
「なんでも実験考古学」では、今後も楽しみながら考古学的実験を行うことを通じて、郷土の歴史や文化の魅力を発信していきたいと考えています。みなさんのご参加をお待ちしています。