11月19日(日)に、鵜殿西遺跡発掘調査成果報告会を紀宝町生涯学習センター「まなびの郷」きらめきホールで開催し、46名の方が参加しました。
三重県埋蔵文化財センターと紀宝町教育委員会の職員によって3つの報告を行いました。
1つ目の「ここまでわかった鵜殿西遺跡―最新の調査成果とこれからの課題―」では、鎌倉時代から江戸時代にかけての遺構の変遷を時期毎に紹介しました。このうち、鎌倉時代の大型建物については、建物の規模から有力者のものである可能性を提示しました。
2つ目の「出土遺物から見た鵜殿西遺跡」では、東海地域をはじめ近畿、瀬戸内、九州などの各地でつくられた土器や陶磁器が出土していることを報告しました。さらに、中国製の貴重な青磁や青白磁の出土から、海上交通に関わっていた有力者の存在を指摘したうえで、和歌山県の新宮下本町遺跡とともに港町の機能を有していた可能性を示唆しました。
3つ目の「紀宝町の文化財について」では、令和5年3月に紀宝町教育委員会から刊行された冊子『紀宝町の文化財』をもとに、御船祭や神内神社の樹叢などについて体験談も交えながら解説しました。
参加された方々からは、スライドを見ながら報告者の説明に聞き入る様子や、展示した鎌倉時代から江戸時代の遺物を実際に触りながら当時の人々へ思いを馳せている様子がうかがえました。
参加者からは、「鵜殿西遺跡から鵜殿の歴史が分かった気がします。」「自分の生まれ育った土地のことについて、新しい知識が得られました。」「詳しい資料を作成して頂きよくわかりました。」などの感想があり、鵜殿西遺跡や地域の歴史に興味を持たれた方が多かったようです。
報告の様子 遺物展示の見学