9月17日(日)、18日(月)の二日間、第2回なんでも実験考古学「台付甕をつくってみよう」を開催しました。
台付甕とは東海地方を中心に弥生時代の終わりから古墳時代の初めにかけて使用されていた土器です。煮炊きに使用されていた「甕(かめ)」に脚台を付けるとともに、器壁をうすく作り、熱効率を上げる工夫が凝らされており、独特な形をしています。今回は小学校3年生から、70代の方まで、31名が参加され、2日間をかけて台付甕の制作を行いました。
1日目は台付甕についての簡単な説明の後、台部と甕部中段までを作成しました。スライドと配付資料に従い、ポイントになる部分については実演、解説しながら作業を進めていきました。スタッフが机間を回り、必要に応じて技術指導や、補修作業を行ったこともあり、ほぼ全員が甕部中段までの作成を終えることができました。
2日目は、1日目に目標段数まで積み上げられなかった参加者が時間前にお越しいただき、自主的に作業をされていました。
この日の作業では甕の部分の上段を作ること、口縁部を付けること、仕上げをして完成させることを目指しました。ほとんどの参加者が時間に余裕を持って口縁を付ける作業を終えることができました。その後、さらなる探究課題として、S字甕を紹介したこともあり、仕上げの段階で口縁をS字にすることに挑戦する人もみえました。
最後に「もっと詳しく学びたい人へ」と題してスライド資料を使用し、S字甕の分類や、同時代の畿内の甕について解説を行いました。会場には津市の納所(のうそ)遺跡、位田(いんでん)遺跡、松阪市の阿形(あがた)遺跡から出土した本物の台付甕を展示し、間近で観察もしていただきました。時をこえて、この土地で暮らした古代の人々の技法を体感することを通じて、郷土の歴史や文化に愛着を感じていただく機会になったのではないかと思います。
制作した台付甕は11月5日に焼成する予定です。その後、11月19日に予定しているイベントでは、今回の参加者を対象に、自分で作った甕でご飯を炊くことに挑戦します。