8月26日(土)、嬉野ふるさと会館多目的ホールで天白遺跡の出土品が国の重要文化財に指定されたことを記念するシンポジウムを実施しました。
当日は天白遺跡の発掘調査を担当された森川幸雄さん、元文化庁主任文化財調査官の原田昌幸さんを講師にお迎えし、62名の方がご来場されました。
三重県埋蔵文化財センター所長、穂積裕昌の挨拶に続き、講演①として森川さんから「石をならべた縄文人」と題し、天白遺跡の概要、遺構、遺物の説明をしていただきました。森川さんは講演の最後で、天白遺跡の評価として、「朱を特産物とする東西日本を結ぶ縄文ネットワークステーション」とのまとめをされました。
次に、原田さんに「縄文世界の土偶の変遷と天白遺跡の土偶」と題する講演をしていただきました。スライドや図を使用され、全国の主要な土偶を紹介しながら、その変遷について、丁寧に解説していただきました。
休憩を挟み、当センター調査研究1課課長、小濵学がコーディネーターを務め、「東西文化の十字路(クロスロード)としての天白遺跡」と題する討論を行いました。配石遺構や朱の生産、天白遺跡から出土する東北や北陸などの異系統の土器を切り口に、意見交流を通して天白遺跡や縄文時代についての理解を深めることができました。
会場からも質問が出されるなど、参加者のみなさんは熱心に話に聞き入られていました。事後アンケートには「天白遺跡の現地に行ってもあまりよくわからなかったが、今日、少し理解ができて嬉しかった」との趣旨のご回答もありました。三重県埋蔵文化財センターでは、今後も調査、研究成果の丁寧な発信に努めていきたいと考えております。