8月18日(金)、津高校生徒を対象とした3回目の出前授業を実施しました。前2回は津高校内での授業でしたが、今回は学校を離れ、津城跡でのフィールドワークを行いました。
最初に、現在の市街地図に津城復元図を重ねた資料で、往時の津城の位置や、スケール感を確認しました。その後、城の種類やその魅力等について学び、西之丸から城内に入りました。
虎口(出入口)では参加者を「攻め手」と「守り手」に分け、どう攻めるか、どう守るかを考えながら、城の防御施設について学びました。複数の系統を取り入れた津城の防御施設を体感したことは、参加生徒に強い印象を与えたようでした。
その後、藤堂高虎公銅像前で、石垣の見方についての基本的な講義を行い、実際の石垣で「算木積み(さんぎづみ)」を確認しました。ここで少し時間をとり、学んだ知識をもとに全国の有名な城の石垣写真を時代の古いものから順に並べることに挑戦しました。全問正解者はいませんでしたが、ここで講師が参加者に、自分も大学の授業で資料を時代順に並べることに成功しなかったこと、しかし、担当の先生が、間違えた悔しさがその後の学習への意欲につながると話してくれたことを紹介し、間違えた人には伸びしろがあるのだと伝えました。大変印象に残る言葉でした。
後半では津城跡でみられる石垣の特徴を6箇所で確認し、考古学的な物の見方、考え方を紹介しながら、解説を行いました。参加者からは活発に質問や意見が出され、全員で学びを深めていくことができました。
最後に、石垣のデータ化など、今後の探究活動への方向性を示して今回の授業を終わりました。
事後アンケートでは「津城を見るのがはじめてだったけれど時代背景と合わせて説明してもらったのでイメージしやすくて楽しめました」「実際に歩いて、見ることで、座学だけでは分からないことが分かった」「身近にある津城の要所をめぐり、これまで知らなかった城の秘密にせまることができた」との声が寄せられました。
今回の授業を通じて、生徒は探究活動への視点を得るとともに、郷土である津市、三重県への誇りを抱いてくれたように感じました。埋蔵文化財センターでは、今後もこうした活動を通じて、県民の皆さまに、歴史を学ぶことの意義や、三重の魅力を発信していきたいと考えています。