令和5年6月16日(金)に、紀北町立潮南中学校で出前授業を実施しました。対象は1年生35人で、5時間目と6時間目で2時間連続の授業を行いました。
まず、三重県から出土した実物の石器、縄文土器、弥生土器に触れ、その質感を実感するとともに、時代ごとの土器の特徴について意見を出し合いました。生徒からは、縄文土器は「重い」「デコボコしている」弥生土器は「近代的」「つるつるしている」「(水平な)線が入っている」等の声が出されていました。
その後、スライドで三重県を代表する遺跡や土器を紹介し、弥生時代に稲作が広まっていることや、当時使われていた木製農具の出土状況などを確認しました。
6時間目はグランドに移動して弥生時代に使用されていた木製農具のレプリカを使用し、校庭で耕作体験を行いました。木製農具を使った後、現代の鉄製農具を使用し、作業効率の違いを実感するとともに、初期の稲作が低湿地で行われたことを確認しました。
最後にもう一度教室に戻り、古代にも食べられていた赤米を試食するとともに、農耕がもたらした社会の変化について考えました。稲作は共同作業で行う必要があることを確認し、共同作業には何が必要かを質問すると生徒からは「指導者」という声が出され、稲作の広まりとともに身分の差や集団での争いが発生したことに触れ、次回の授業につなげました。
放課後には他学年の生徒も遺物の見学に訪れ、埋蔵文化財センター職員に熱心に質問しながら土器や石器に触れたり、赤米を食べたりして古代の生活に思いを馳せていました。
授業で群馬県岩宿遺跡を発見した相沢忠洋さんのエピソードや、地元である紀北町の「道瀬遺跡」を紹介したこともあり、生徒のアンケートには「土器が紀北町でも見つかったことと、相沢さんがすごいと思った。」「(授業で心に残ったことに回答して)耕作体験で鉄伝来が大きな進歩だとわかったこと。」「実際にくわを使って耕したり、土器を触ってみたり、食べたりして、ここでしか体験できないことが多かったです。」などの声がありました。
埋蔵文化財センターでは、当センターが保管する三重県の文化財を活用し、学校での探究活動や、郷土学習を支援することを通して、児童・生徒のみなさんが郷土の歴史や文化に対する理解を深め、「学ぶ楽しさ」を実感できる取り組みを進めていきたいと考えています。
教室での授業の様子
遺物観察の様子
グランドでの農耕体験の様子