今回の講座は、三重県生涯学習センターと共催で、同センター視聴覚室(三重県総合文化センター内)で行いました。内容は、「高茶屋大垣内(たかぢゃやおおがいと)遺跡―高台にあった豪族の拠点!?―」と題し、埋蔵文化財センター職員田中久生(たなかひさなり)が講演しました。当日は気持ちの良い快晴となり、84人の方にご参加いただきました。
高茶屋大垣内遺跡は、雲出(くもず)川の下流左岸の高茶屋台地上にある遺跡です。講座では、発掘調査で見つかった竪穴(たてあな)住居や掘立柱(ほったてばしら)建物などを、古墳時代前期、同後期、飛鳥・奈良時代の3時期に分けて紹介しました。
古墳時代前期と後期に豪族居館と考えられる棟持(むなもち)柱式掘立柱建物が同じ場所で見つかっているが、棟持柱の位置が変わったり、周囲を囲む堀が二重になったりして構造が変化していることに触れ、他県の豪族居館の例を挙げました。
古墳時代後期には、竪穴住居の中にカマドが作られるが、カマドがあると不要になるはずの台付甕も使われ続けていることを話しました。
飛鳥・奈良時代では、土師器(はじき)を生産した土師器焼成坑(しょうせいこう)が見つかっており、その数は明和町の遺跡に次いで多いことを紹介しました。
最後に、相川西方(あいかわせいほう)遺跡、雲出島貫(くもずしまぬき)遺跡、高茶屋大塚(おおつか)古墳など、周辺の遺跡との関係に触れました。
質疑応答では、数名の方からご質問をいただき、講座の内容がより深まりました。ありがとうございました。また、講演後には展示遺物を観察する時間が設けられ、参加者の方は、台付甕をはじめ、竪穴住居から出土した土馬(どば)、「美濃」の刻印のある須恵器(すえき)、土管などを熱心にご覧になっておられました。