平成20年度事後評価
平成20年度三重県工業研究所の事後評価の概要と実施結果
1 日時 平成21年3月5日木曜日 13時から17時
2 場所 工業研究所会議室
3 出席者 研究評価委員4名中4名出席
4 対象事業と評価結果
(1)事後評価の課題と評価結果
- 課題1 燃料電池技術の普及を促進する要素開発事業(電子・機械研究課)
産学官が連携して、固体高分子形燃料電池(PEFC)と固体酸化物型燃料電池(SOFC)を構成する部材の成形法やその発電試験等の高性能化及び製造プロセスの低コスト化を図る。 - 課題2 ディスプレイ用発光体と透明電極の開発費(電子・機械研究課)
ディスプレイデバイスの基本部材である透明電極の低コスト材料や作製法を検討する。また発光体についても多色化・白色化を目標に材料設計・合成を行い、有機無機ハイブリッド材料を開発する。 - 課題3 機械金属部品の破損予防技術開発事業費(医薬品・食品研究課)
加工や使用により部品に生ずる残留応力を表面の磁束密度を測定して評価し、応力除去などの破壊防止策や残留応力のない適切な加工法を提示する。 - 課題4 地域天然資源の有効成分活用研究事業費(材料技術研究課)
県内天然資源の有効成分について調査し、データーベース化・}るとともに、有用な天然資源の医薬品・食品素材化を図る。 - 課題5 新規贈粘剤の開発とその食品・医薬品等への応用研究費
三重県の特産品であるモロヘイヤから増粘多糖類を抽出し、新しい増粘剤の開発、大量生産に対応した製造技術の開発を行う。また増粘剤を用いて高齢者の飲み易さを考慮した嚥下補助食品の開発を行う。 - 課題6 服用しやすい製剤に関する研究事業費
苦味を抑制した顆粒や錠剤コーティング技術や服薬時の生体に及ぼす影響評価法の開発、及び取り扱いやすい錠剤形状・容器包装の設計について技術開発に取り組む。 - 課題7 鋳物産業等の新製品開発事業費
企業との共同研究等により転倒を防止するマンホールの蓋やグレーチング、あるいは滑りやすさの評価法の開発に取り組む。また、デザインに優れた鋳物製品の開発に取り組む。 - 課題8 木材加工所から副生される樹皮の高度利用技術開発費
樹皮粉体や有効成分の利用技術、及び有効成分の抽出処理法などの基礎技術を開発し、各利用形態に応じた総合的な利用技術の開発に取り組む。 - 課題9 廃FRPのリサイクル技術の開発費
廃FRPの企業自社内でのリサイクルやその他の用途開発につなげるために、廃FRPの分解合成による再利用技術やコンクリート製品への利用技術を開発する。 - 課題10 経常試験研究課題4課題(研究成果の紹介のみとし、点数付けは行わない。)
近赤外分光法による食品等の品質評価技術に関する研究/マイクロバブルを応用した精密洗浄技術の開発/鋳造におけるIT・メカトロ応用に関する調査研究/伊賀焼陶器の高強度化に関する研究
各課題の評価結果(カッコ内の数字は評価委員数)
課題 | 各項目の評価結果【※】 | ||||
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目標達成度 | 技術の発展性 | 移転・普及性 | 今後の方向 | 成果の取扱い | |
1 | B(4) | 1(4) | 1(3),2(1) | 1(4) | - |
2 | B(4) | 1(2),2(2) | 1(1),2(1),3(2) | 1(3),2(1) | - |
3 | B(3),C(1) | 1(1),2(3) | 2(1),3(3) | 2(4) | 成果の公表に努めること。 |
4 | A(2),B(2) | 1(2),2(1),3(1) | 1(2),2(2) | 1(2),2(1),3(1) | - |
5 | B(4) | 1(3),2(1) | 1(2),2(2) | 1(3),2(1) | - |
6 | B(4) | 1(3),2(1) | 2(2),3(2) | 1(2),2(1),3(1) | 研修会・講習会の開催が望まれる。 |
7 | A(1),B(3) | 1(3),2(1) | 1(2),2(2) | 1(2),2(1),3(1) | - |
8 | B(4) | 1(2),2(1),3(1) | 2(2),3(2) | 1(1),2(1),3(2) | 特許等の取得の検討が望まれる。 |
9 | B(4) | 1(3),2(1) | 1(1),2(3) | 1(1),2(1),3(2) | 特許等の取得の検討が望まれる。 |
※各項目の評価基準
(目標達成度)A:目標以上、B:ほぼ目標通り、C:一部不十分、D:不十分
(技術の発展性)1:全体として発展性あり、2:・齦粕ュ展性あり、3:発展性は少ない
(移転・普及性)1:技術移転の可能性あり、2:製品化・普及への具体性あり、3:技術情報として有効
(今後の方向)
1:新規課題で未完成技術の開発を図る、2:未達成課題を継続して完成を図る、3:課題を終了する
総合評価
課題1:ほぼ目標通り
セパレータの更なる効率の上昇、低コストが望まれる。出来れば非白金触媒の研究も行えると良い。
課題2:ほぼ目標通り
現状品との数値の比較し、ハイブリッド発光の特長を出すことが重要である。希少元素を用いない低コスト大面積のタッチパネル等を実現して欲しい。
課題3:ほぼ目標通り
応力と磁束密度との関係を把握できたことは評価される。実際の加工条件に本法を生かすために更にデータを収集されることが望まれる。
課題4:ほぼ目標通り
当初の予定数以上の天然資源について有効成分を解明が出来たことは評価される。今後データの活用方法を検討することが重要である。
課題5:ほぼ目標通り
モロヘイヤ由来の増粘多糖類を実現し、特許出願もされている。応用についても具体的な目途を付けており、目標は達成された。
課題6:ほぼ目標通り
医薬品の、特に顆粒、錠剤に対するコーティング法の確立や、それらの持つときの扱いやすさや飲み込んだりする容易さにについて調査がなされ、服用しやすさの検討が多方面より行われた成果が得られた。
課題7:ほぼ目標通り
マンホールなどの鋳物製品のすべり評価技術の確立や、その対策品の試作など、目標とされる成果は得られた。この成果を基礎とした計測技術の応用や転倒防止製品の実用化が望まれる。
課題8:ほぼ目標通り
研究の目標はほぼ達成していると評価できる。きのこ菌床への利用など、成果の活用法について十分検討が望まれる。
課題9:ほぼ目標通り
廃FRPの再生技術は確立されたので、他所で行われているものとの差別化が必要である。廃FRP粉末入りコンクリート製品など用途拡大のため研究も望まれる。
上記の4課題の成果および今後の発展性等について報告を行った。