表面欠点「釉だまり」の防止法
現在、文献に記載されている「釉だまり」の欠点防止法を左欄に示します。右欄には、当研究会で検討した結果として、その意味(科学的理由)を示します。
釉だまり:部分的に釉の厚さの違うもの
欠点防止法 | その意味(科学的理由) | |
---|---|---|
1 | 素地の密度差をなくす | 素焼素地に密度差があると吸水性が不均一になり、施釉した釉薬の厚さが異なる。また、本焼の際に釉が素地に 不均一に吸収されて釉だまりができる。これらを防ぐ。 |
2 | 素地の火度を均一にし、部分的焼けむらをなくする | 素地組織を均一にして、吸水性を均一にし、釉の厚さが異なるのを防ぐ。 |
3 | 釉の濃度を適当にする | 釉薬スラリーの濃度が薄すぎたり、濃すぎたりすると、施釉の際に釉薬の厚さが不均一になるので、これを防ぐ。 (通常、ボーメ度で40-60) |
4 | 釉の粒度を適当にする | 粒度が細かすぎると、焼成の際に縮れて部分的にかたまりになる。また、粗すぎると、溶融が不均一になる。 |
5 | 釉の溶融粘度を適当にする | ビードロ釉のように溶融粘度が低すぎると、流れて釉だまりをつくる。志野釉のように粘度が高すぎると、 均一な厚さにならない。 |
6 | スプレーガンに対する陰の部分を減ずる | スプレーが均一にかかるようにする。 |
7 | 形式を変更して施釉されにくい部分をなくする | 均一に施釉されるようにする。 |
8 | 施釉後の釉の片寄りをなくす | 均一に施釉するようにする。 |
9 | 釉の表面張力を変化させる | 釉の表面張力が高すぎると、釉が半球状にかたまりやすい。低すぎると、流動しやすく釉だまりをつくりやすい。 釉の表面張力を低下させる成分としては、バナジウム、鉛など、上昇させる成分としては、ジルコニウム、マグネシウムなどである。 |
10 | 焼成時の保持方法を変更する | 最高温度での保持時間を長くして、均一な焼成状態にする。 |
11 | 焼成火度を変更して、適度の溶融とする | 焼成火度を調節することにより、流れすぎず、かたまらず適度な釉の溶融状態にする。 |