電力会社の“女性技術者1期生”として男性チームで26年
PROFILE
小林 聖子さん 【2018年ファイナリスト】●中部電力株式会社電力ネットワークカンパニー三重支社総務部付 中電配電サポート株式会社出向
三重支社スタッフ 副長
業種:電気事業
工業高校を卒業後1992年に中部電力グループの“女性技術者1期生”として入社。作業靴・手袋の女性用サイズがなかった時代から26年にわたり現場作業に従事。これまで携わった仕事は、電柱の設計、工事手配など。家庭では2児の母で、育児と並行し台風などの災害復旧業務にも取り組んだ。長年の経験を買われ、2017年にグループ会社へ出向。男性が多数の職場で、女性の目線から環境の改善や整備に取り組む。
私の使命
どこへ行っても“紅一点”作業着の女性
「ちょうど会社が女性の活躍推進に力を入れ始めた頃だったのだと思います」。工業高校卒業後の1992年、小林さんは中部電力グループの“女性技術者1期生”として入社しました。新人研修では多くの女性がいたといいますが「三重支社に配属された女性技術者は3名。営業所では私1人です」。やがて同期は退職し、以来どこへ異動しても“ただ1人の女性技術者”に。最初に配属されたのは、電柱を新設・移設する設計部署。夏も冬も、山から海まで1人で現場へ向かいました。現在は電柱を新設・移設するための用地・伐採交渉をする関連会社へ出向中。電柱設計に関わった経験から、2つの会社を円滑に繋ぐための役割を担い、業務改善に奮闘しています。女性目線から意見し、協働を促す
小林さんが出向先で期待されていることの一つが、女性の活躍推進です。出向先の中電配電サポート株式会社には、女性交渉員が2名在籍中。小林さんは自らの経験を伝えるとともに、県内6営業所の女性事務社員が快適に働けるよう、環境改善に努めています。工具の扱いはお手の物で「ついたあだ名は“小林工務店”!この前は女子トイレに棚を作り、目隠し用の箱を置きました。こんなこと言いにくいですよね、男性上司に」。女性技術者1期生の小林さんは、注目される存在でした。「どこへ異動しても私は有名人」。不便も多くありましたが、嬉しい事も多かったとか。「配属の挨拶直後から『お前がサトコか!』と親しんでいただいてます」。私流リーダーシップ
“きちっと”仕事すれば仲間として見てもらえる
仕事内容は男性技術者と同じ。現場へ向かう際は、工具一式を携え、地図を片手に1人で向かいます。「技術職ですから、会社員というより、職人集団という雰囲気です」。関連会社へ工事発注する業務も多く「荒天時や夜間など、作業をお願いするのが心苦しくなるような場面もしばしば。それでも作業してもらわなければなりません」。作業前には、さまざまな質問が小林さんに投げかけられます。「『分からない』ではナメられます。勝手に判断すると重大事故に。『やっぱり女では無理だった』と言われないためには“きちっと”やる。それだけは心がけていました」。今でも胸に残る先輩の言葉があるといいます。それは「知識は武器にもなる」です。チームに溶け込み組織を強化。一緒に苦しむ
現在小林さんが勤務する中電配電サポートは、6営業所に所属する社員約85名が実務を担い、小林さんは業務円滑化のための体制強化を図っています。「私の仕事は、営業所の皆さんに“働きやすくなった”と実感してもらうこと」。小林さんは、システムの改良、補助マニュアルの作成、意見交換会の実施など、数々の改善策を実行中。チームの強化を目指し、意識的に実践していることが一つありました。「不器用で苦労している姿を、包み隠さず見せるようにしています」。技術者の小林さんは、チームが一丸となった時の強さをよく知っています。そのため自らもチームに溶け込み、一緒に苦しみ、乗り越え、皆で喜ぶよう心がけています。社外メンターとして
お話&アドバイスできる内容
■仕事と家庭の両立
■人材育成
こんな講演・相談に対応できます
■男女とも働きやすい環境整備
■男性チームの中での信頼獲得
■チームのムード良くする実践例
所属事業所概要
●中部電力株式会社電力ネットワークカンパニー三重支社
津市丸之内2番21号
https://www.chuden.co.jp
社員数:1,157名
私の癒し
高2と中3になった2人の息子です。仕事では台風の動きに翻弄されていますが、彼らもまた台風のようで動きがまったく読めません。この2人のおかげで自分の知らなかった世界をたくさん知ることができました。2人の話に登場する友人や先生方も、みんな私の宝物です。2018年11月 取材