みんなに“イイこと”がある『ハイブリッド型地域サービス』とは?
PROFILE
猪野 由里さん 【2017年ファイナリスト】●特定非営利活動法人みどりの家(四日市市)
理事長
業種:障がいなどを持つ人の就労・生活支援、職業訓練、雇用・余暇活動支援
環境プランナー。障がい者の就労などを支援するNPO法人『みどりの家』理事長、重度障害者雇用事業所『有限会社オレンジ環境プランニング』代表取締役。大学時代にアメリカへ留学し、ボランティアとエコロジーに目覚める。1997年に起業し、商業施設に『エコステーション(廃品回収・フリーマーケット)』を提案。就労困難者の働く場と企業CSR、市民サービスを一手に担う『ハイブリッド型地域サービス』を考案し実践中。
県・市町の附属機関の委員等履歴
・四日市市ごみ減量等推進審議会 委員(1999年~)
・四日市市都市計画審議会 委員(2008年~)
・三重県「美し国おこし・三重」実行委員会委員(2009年~2014年)
私の使命
ごみ削減・就労支援・増客が実現!
音楽の才能が認められ、高校は東京で、大学はアメリカで学生生活を送った猪野さん。「アメリカでは障がいを持つ人が臆せず外出し、人生を謳歌している姿に感動しました。それを支えるボランティアがとても活発なことにも」。その影響を受け、卒業後は地元四日市市でエコとボランティアをミッションに起業。約20年経ったいま、猪野さんは自身が築いた『ハイブリッド型地域サービス』の良さを説き、普及を広く呼びかけます。それは、障がい者・一般生活者・地域の企業・行政のみんなに“イイこと”がある仕組み。企業には増客が、行政にはごみ減量がもたらされているとか。鈴鹿市と四日市市で実際に稼働中の仕組みについて聞きました。ごみ・不要品回収で商業施設の集客力UP!
1997年に環境プランナーとして起業し、企業のCSR活動をコーディネート。「それと並行して、障がいを持つ人と一緒にエコステーション(廃品回収・フリーマーケット)の運営もしていました」。このエコステーションが、商業施設の集客装置になり得ると確信した猪野さんは、各企業に提案。はじめに『鈴鹿ハンターショッピングセンター』が、続いて『日永カヨーショッピングセンター』が導入しました。両ショッピングセンターでは障がい者への理解が進み、採用も開始。さらに猪野さんは2006年に、回収した食品トレーをペレットに再生する工場も創業。これには“事業ごみが削減できて助かる”と『スーパーサンシ』が敷地を提供しています。私流リーダーシップ
誰でも働きやすいカタチに“仕事をデザイン”
商業施設のエコステーションを成功させた猪野さんは、2000年に障がい者の就労を支援する『みどりの家』を開設。エコステーションと食品トレーの再生工場を、就労困難者の職業訓練所にしました。また商業施設に対し、ショッピングカート回収や店内清掃などの仕事について、『みどりの家』出身者の雇用受け入れを提案。さらに2012年には、食肉加工のプロ・堀内強美氏を招き、『みえ豚ジャーキー』を開発。その加工所も作業所として開業しました。「寄付の呼びかけや陳情など、支援を求める方法は色々あると思います。私は双方にとってwin-winの仕組みを考え提案をする方が、大きな成果を上げられると思い、実践しています」。市民には“ボランティアに参加した喜び”を
猪野さんの『ハイブリッド型地域サービス』は、一般市民にも“イイこと”があります。それは“不要品をごみにせず済んだ”という充足感。“善い行いをした”というボランティアの喜びをもたらします。猪野さんがこれらの取組を始めて20年。この20年で世相は変わり、『みどりの家』利用者の悩みにも変化があるといいます。「近年は長期の引きこもりや鬱病などで就労困難な人が増えました」。思うように働けない個々の事情を汲み、長い目で支援します。「無事に就職できた人が、誇りに満ちた顔で報告に来てくれるのを見るのが私の喜び」。“三方良し”以上の成果をもたらすこの取組が、日本中に広がることを猪野さんは願います。社外メンターとして
お話&アドバイスできる内容
■起業
■NPO設立
■人材育成
■障がい者雇用
講演実績
2006年 「環境福祉事業の展望 -リサイクルの新展開」(一般財団法人保健福祉広報協会)
2008年 「障がい者の自立活動支援」(NPO法人市民ネットワークすずかのぶどう主催)
2008年 「障害者の自立を成功させたリサイクルとは」(株式会社岩井化成)
こんな講演・相談に対応できます
■障がい者就労支援に係る起業体験
■障がい者福祉と環境ビジネス
■企業CSRとリサイクルビジネス
■障がい者の自立活動支援の実態
所属事業所概要
●特定非営利活動法人みどりの家
三重県四日市市日永四丁目二番41号
http://www.npo-midorinoie.org/
社員数:18名
私の癒し
42歳で初めての子に恵まれました。今は7歳になる我が子が私の癒しです。事業の資金繰りや、社員・通所者さんとの人間関係で悩み、塞ぎ込むこともありますが「由里ママに会えて良かった」、この一言に私は心から救われます。2018年8月 取材