保育の未来を変える!シングルマザー時代の苦労が原動力
PROFILE
池田 芙美さん【2016年ファイナリスト】●特定非営利活動法人どんぐりの会(津市)
理事長
業種:学童保育の運営
自身がシングルマザーとなり好きな仕事を断念した経験から、1人親も自由に職業を選択できるよう、夜間・休日も対応する広域対応型学童保育所『どんぐりの家』を2014年に開始。手厚い保育に必要な運営資金の一部は、約100社の地域企業の支援による“飛び出し注意喚起看板”設置維持管理事業で賄っている。夢は、医療や塾も一体化した複合保育施設の開設。働く親と子どもために、行政・企業と連携し地域課題に取り組む。
県・市町の附属機関の委員等履歴
・みえ県民交流センター利用サービスにかかる外部委員会(2014年度)
私の使命
働く母は「我慢する」問題を解消する学童保育
広域対応型学童保育『どんぐりの家』を2018年3月に新築移転した池田芙美さん(旧姓:木﨑さん)。2004年に3歳の子を連れ離婚した経験が、学童保育の設立に繋がったといいます。「私は就きたい仕事を諦めるしかありませんでした。夜間や土日の預け先がなかったんです。我慢することが沢山ありました」。だから『どんぐりの家』では、土日も夜間も児童を受け入れます。食事・おやつは、温かい手作りのものを提供し、食育や自然体験のプログラムも用意。2018年からは乳幼児の一時保育や病児サポートも始めました。保護者が安心して働けるよう、仕事中は保護者に代わって子どもたちを育てます。“看板”で手厚い保育を企業が応援
学童保育設立を決意した池田さんは、利用料を試算し頭を抱えました。「そんな時、ちょうど道路の“飛び出し看板”(飛び出し注意喚起看板)が目に入りました。それはボロボロに朽ちて、見捨てられていました。電柱みたいに広告を入れたらいいのに」。池田さんは早速行政に確認の上、看板の設置・維持管理を行うことに。地域の企業に協賛してもらい、その収益を学童保育事業に充て、利用者の負担を軽減。協賛企業は約100社に、設置看板は約350体になりました。企業は社会貢献に加え、社員の福利厚生として『どんぐりの家』を利用できます。このプランは全国商工会議所女性会連合会の第14回『女性起業家大賞』特別賞ほか数々の賞に輝きました。私流リーダーシップ
企業のサポートで魅力的な体験授業
『どんぐりの会』を応援する地元企業は、製造業から飲食店、お寺まで多岐にわたります。池田さんは企業とコラボレーションした“体験授業”も展開中。例えば住宅設備メーカー『LIXIL』と共催した出前授業や、地域のトイレ清掃活動、『久居ライオンズクラブ』主催の田植え、稲刈り体験など。「企業と繋がっている事が私達の強みだと思います。子ども達は色んな体験をして大きくなって欲しい」。特に池田さんが力を入れているのが料理。手づくりの料理を食べて、自分でも料理ができるようになることを目指します。「保護者が『我が子が電子レンジで料理を作ってくれたり、家事を手伝ってくれたりしてビックリした』と感激されていました」。“保育複合施設”を目指し社員と挑戦中!
“普通の家庭の子育て”を目指して一軒家を借り、2014年に開始した『どんぐりの家』は、3人の児童預かりからスタート。2018年には58人の登録児童と、一時保育の子ども達で賑わっています。それに伴い社員を9人に増員。池田さんは『認定病児保育スペシャリスト』の資格をはじめ、発達支援に関する資格や調理師免許まで率先して取得。「利用者さんに安心してもらいたい。さらに社員に資格取得を呼びかける目的もあります」。池田さんの夢は、「保育園/学童保育/病院/各種習い事が一体となった複合保育施設をつくること!」。シングルマザーで苦労した経験を武器に変え、働く親が嬉しい保育施設を開拓します。社外メンターとして
お話&アドバイスできる内容
■起業
■仕事と家庭の両立
■NPO設立
■学童保育の運営
講演実績
2014年 「起業家が語る!成功する企業の秘訣」(特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター)
2016年 「子どもたちが安心、安全に暮らせる地域社会の実現に向けて」(津市商工会議所)
2018年 「企業と協働のコツ 地域の課題解決にかける経営者の想い」(安城市・安城市民活動センター)
こんな講演・相談に対応できます
■子どものあそび発達について
■子どもの食育について
■仕事と子育てが両立できる社会づくり
■企業とコラボした体験教室の開催
■企業の福利厚生に役立つ学童保育
■1人親に必要な子育て支援の具体例
所属事業所概要
●特定非営利活動法人どんぐりの会
三重県津市久居小野辺町984-7
http://www.npo-dongurinokai.org
社員数:9名
私の癒し
美味しいものを食べることと、作ることです。料理づくりもお菓子づくりも大好き。特に七夕などの季節のイベント日には、ついつい力が入ってしまいます。縁あって再婚した夫と、彼を受け入れてくれた息子と一緒に食べると、3倍美味しく感じます。2018年9月 取材