「女性がイキイキと働く企業」10選!
生活協同組合コープみえ
○食品小売業 ほか○住所:三重県津市 ほか
○従業員数
全職員:472名
うち女性職員:244名
左から「まつさか店」の村田副店長、齋藤執行役員、中江店長。
売り場から買い場※づくりの実現へ
※買い場とは、売る側からの立場ではなく、買う側からの立場と気持ちに立った店づくりのこと。
消費者からの出資金を元に、より良い生活の実現を目指す『生活協同組合コープみえ』は、これまで共同購入を中心に展開してきました。しかし近年は、ネット通販やスーパーの宅配サービスなどの競合が続々と台頭。『コープみえ』は、大きな岐路に立っています。
平成26年に店舗事業部へ異動した執行役員・齋藤仁さんは、店舗の魅力向上を唱え、県内にある2店舗の一つ「まつさか店」の改革に乗り出しました。
「コープの主役は生活者。だから地域に密着しているパート職員の声を、もっと店づくりに反映したいと考えました。しかし現場は猛反発。『私たちに責任を押し付ける気か』とお叱りを受けました」。
齋藤さんが視察した先進例をいくら話しても伝わりません。ならば、と平成26年には「まつさか店」全職員での視察研修を敢行。宮崎県の「生活協同組合コープみやざき」へと出張しました。当時、青果担当のパート職員だった中江多美江さんはこう振り返ります。
「『うそぉ~?! 旅行に行けるの?』。当初はそんな気分でしたが(笑)、実際に店内を見ると、驚きの連続でした。『こんな事をしてもエエんや』と目から鱗が」。
以来、職場のムードが変わったと齋藤さんも中江さんも口を揃えます。歩くPOPに扮する人、バナナを"房"ではなく"1本"で売ろうと発案する人など、お客さんの「声」をヒントに、数々のアイデアが飛び出すようになりました。そのすべてに齋藤さんはGOサインを出すようにしています。
「今はまだ実験段階。現場の熱気に私が水を差さないよう努めています」。
会話を生むひと工夫。背中に 「改革以降、個性を発揮!
自己紹介ワッペン。 "歩くPOP"です」
店長はパートママ! 職務を2人で分担
平成27年には、店長職にパート職員を起用。もちろん従来どおりの体制では引き受け手が現れないことは明白でした。そこで副店長の職を新たに設け、店長が負う職務と勤務時間を分担することに。中江さんは副店長に任命されました。
「抵抗感はありませんでした。これまでにない職なので、想像がつかなかったことが逆に良かったかも」。
中江さんは仕事の手応えを掴み、現在は店長に。16時半までの勤務です。以降は、副店長の村田さんにバトンタッチ。彼女達が抱える日々の不安には、齋藤さんが伴走して寄り添います。
「まつさか店」を見渡すと、お客さんと職員が楽しそうに話す光景が各所で見受けられます。これこそが『コープみえ』が見出した新しい店づくり。女性職員のリードで、ネット通販や大型モールとは一味違う、温もりあふれる"買い場"を実現し、新たな魅力を発信します。