「女性がイキイキと働く企業」10選!
井村屋グループ
○食品製造業 ほか○住所:三重県津市
○従業員数
全従業員数:1,216名
うち女性従業員:438名
左から中島副社長、北さん、浅田剛夫会長、松田さん、脇田さん、宮路副部長。
職群制を廃止 誰もが切磋琢磨
定番の『肉まん』『あんまん』に加え、『あずきバー』や『やわもちアイス』も好調。平成29年には過去最高売上高を更新した井村屋グループ。
「弊社グループは、意欲を引き出す"人づくり"に長年力を注いできました」とは副社長の中島伸子さん。設備投資はもちろん、人材への惜しまぬ投資も飛躍の背景にありそうです。
同グループでは平成23年から既に「女性の活躍」を重要方針に掲げ、女性社員に特化したキャリアアップ研修や管理職講座を実施してきました。
その後、対象を女性に限定せず、誰もが活躍できる取組にシフトし、平成27年には、約2年の準備期間を経て人事制度を刷新。従来の「一般職」「エリア総合職」「総合職」の垣根を取り払い、意欲ある誰もが管理職や役員を目指すことができるようになりました。
「家庭の事情で転勤はできないけれど、優秀で意欲のある人たちが、制度の壁で上にあがれないのはおかしいと思っていたんです」と中島副社長。同グループでは、自己研鑽のための通信教育の受講を奨励していますが、制度改正後は受講者数が約2倍に。「社員には常に自分を鍛え、人間力を高める努力をしてほしいと思っています」。
部署間の交流・連携強化を目指して、 「特技を持てば自信がつきます」。
打合せテーブルをセンターに設置。 通信教育を奨励!
背中を押してくれる上司や先輩を励みにステップアップ
井村屋グループに在籍する女性の約65%が旧制度の一般職社員。管理部の北友紀さんも、一般職として入社した一人です。
「私たちは高卒入社。社内では大卒の方々が活躍していて、自分にはキャリアアップなんて関係ないと思っていました」。そんな北さんの意識を変えたのが、入社当初からの職場の先輩であり、現在は管理部の副部長である宮路元美さんの存在。宮路さんが産業カウンセラーの取得など、次々と新しいことに挑戦する姿を間近で見て、少しずつ意識が変わったといいます。大卒者が大半である女性のキャリアアップ研修への参加を促したのも宮路さん。職群制の廃止も相まって、北さんは育児をしながら管理職登用の条件である昇格試験に挑戦し、合格しました。現在は2人目を出産し、時短勤務を続けています。
総務・人事部の課長代理、松田瞳さんも育児時短勤務です。技術職で入社し、品質管理や開発の経験を積みながら、消費生活アドバイザーの資格も取得。2人目の育休を経て、現在は新たに人事の分野で活躍しています。
そんな松田さんの仕事観は、入社当時に遡ります。「当時の上司は入社1年目の私に、担当する業務について会長や役員の前で発表する役割を与えてくださいました。その時はすごく大変でしたが、今思えばそれが私の挑戦の原動力になっていると思います」。
井村屋グループに初めて女性副社長が誕生したのが平成29年。海外5拠点を含む9つの事業会社の全ての階層に、性差でも学歴差でも区別されない"やる気"の風が吹き渡ろうとしています。やがて女性社長が誕生する日も遠くないかもしれません。