令和5年度三重県保健環境研究所調査研究評価委員会(衛生分野)
研究課題の目的
事後評価
公衆浴場等におけるレジオネラ属菌制御を目的とした先駆的手法の実地検証
レジオネラ属菌(Legionella spp.)は、公衆浴場に代表される人工水系の衛生管理に不備があると増殖し、エアロゾルを介して経気道感染すると、重篤な肺炎を引き起こすことがある。レジオネラ属菌の感染に伴うレジオネラ症は、感染症法に基づく届出数が年々増加しており、現在は全国で年間2,000件を超えている。レジオネラ症は、特に高齢者等のハイリスクグループで重症化率が高く、死亡に至ることもある。
これまで当研究所では、三重県の温泉に特徴的なアルカリ性の温泉や、アンモニウムイオンを多含する温泉を対象として、従来型の塩素系薬剤である次亜塩素酸ナトリウムに対する消毒阻害性を実験的に捉えるとともに、次亜塩素酸ナトリウムに代わる消毒剤のひとつであるモノクロラミンを用いて、その消毒効果について研究を行ってきた。本研究では、実地、室内の両面からのモノクロラミンの消毒効果の検証をさらに進めることにより、生活衛生営業施設の自主的な衛生管理の推進と、県民の健康被害の未然防止に資することを目指す。