令和6年度三重県保健環境研究所調査研究評価委員会(環境分野)
研究課題の目的
中間評価
リサイクル材の環境リスク評価に関する調査研究
廃棄物のリサイクルについては、廃棄物の性状に応じた適正な処理及び使用用途のもと安全・安心が確保される必要があるが、リサイクルを装った不適正処理や安易なリサイクルが実施され、有害ガスや汚水が発生する等の周辺環境に影響を及ぼす事案も発生している。
また、廃棄物・リサイクル課(現:廃棄物対策課)が実施した「平成27年度未利用廃棄物利活用検討調査」において、三重県下での排出状況やリサイクルの推進に対する課題等について調査したところ、バイオマスボイラー焼却灰、無機性汚泥、塩ビ管等の廃プラスチック、廃石膏ボード、タイル・レンガくず、鋳物砂、スラグが、リサイクルにおける課題として環境リスク等を把握する必要があるとされた。
このようなことから、本研究では、廃棄物の適正処理及びリサイクルの安全・安心の確保のため、環境リスクを把握することが急務であるバイオマスボイラー焼却灰等の廃棄物の潜在的な環境リスク評価を実施するとともに、有効利用方法の方向性を検討することを目的とする。
再生品の環境安全性に関する調査研究
令和3年3月に策定された「三重県循環型社会形成推進計画」においては、今後5年間の取り組む施策として、資源の循環的利用の促進が挙げられています。再生資源の適正な循環利用の促進にあたっては、産業廃棄物の不適正な処分を防止しつつ、再生品の環境安全性を確保することが求められます。
排出事業者の自ら利用や産業廃棄物中間処理業者等により製造された再生品は一般環境中で利用されていますが、これらの再生品は製造者である中間処理業者において品質や環境安全性の管理がされているものの、管理体制が不十分な場合がみられ、その環境安全性は必ずしも確保されているとは限りません。また、日々技術が進歩し、新たな再生資源や処理方法を用いた再生品が開発されていますが、その製造時から利用中、廃棄時における環境安全性に関する知見は十分とは言えない状況です。
本調査研究では再生品を製造する中間処理業者へのヒアリング調査と再生品の環境安全性に関する試験を実施し、再生品の製造時から利用中、廃棄時における環境安全性を明らかにします。この調査結果を行政部局と共有して中間処理等の許認可や立入検査等に活用することで、再生品の環境安全性を確保し、資源の循環的利用の促進につなげていきます。
自動同定定量システムを活用した災害時に流出が想定される化学汚染物質の把握に関する研究
災害時等に流出する化学物質は生活環境に悪影響を起こす可能性がある。流出が想定される物質について日頃から把握し、災害時のモニタリングに備えておくことは、災害時における迅速・精確なリスク判断を可能とし、周辺住民の安心感の醸成に寄与するとともに流出事故時の対応の効率化にもつながる。本研究では、県内中小企業から流出が想定される化学汚染物質について情報収集し、そのうちGC-MSで測定可能な物質について自動同定定量システム(AIQS)へデータベース登録を行う。これらの取り組みにより、流出時の迅速な事故対応に備えることを目的とする。