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令和元年12月16日

令和元年度三重県保健環境研究所調査研究評価委員会(環境分野)

研究課題の目的

 事前評価

伊勢湾流入河川の流域別負荷量評価に関する調査研究

  三重県の北東側に位置する伊勢湾は、漁業、観光、親水の場として地域の人々に様々な恩恵をもたらしてきた重要な環境資源である。伊勢湾は閉鎖性水域であることから、水質総量規制等により湾全体の水環境保全対策が進められ、赤潮発生件数は昭和50年代をピークに減少しているが、大規模な貧酸素水塊は現在も継続的に発生し、水生生物の生息環境を脅かしている状況にある。
これらの課題については、直接的には「伊勢湾再生に係る共同研究事業」として、四日市大学等と共同で実施している。その結果、伊勢湾内への有機物負荷、換言すると有機物供給については、エリアによって大きく異なっている状況が明らかとなってきた。
 その結果を考えると、伊勢湾そのものの研究を継続的に実施するとともに、陸域(三重県側湾岸)からの影響という視点での陸域側の研究も必要となる。が、これまでこれに関する研究成果は殆ど発表されていない。
なかでも陸域からの主要な供給ルートである河川(流域)の影響は大きい。人の生活や生活排水処理の方法は、常に変化しており、流域それぞれの「水量(総量)」や季節的な「偏在の可能性」の視点から河川(流域)を研究することは重要である。
 伊勢湾を「きれいで豊かな海」とするには、生物がそれぞれの場所に生息する以上、伊勢湾を総体として捉えるのではなく、時間的、地理的偏在を意識した詳細な検証を行うべきである。そのため、三重県側の河川に適した評価手法により、有機物を供給している個別河川(流域)のどこから負荷が発生し、三重県側伊勢湾のエリアに合ったものであるかを検証する必要がある。

 中間評価

汚泥肥料の利用における安全性確認に係る基礎的調査・研究

  三重県は、資源循環型社会の構築を目指し、産業廃棄物の発生抑制など、3Rの推進を行ってきた。産業廃棄物の中でも下水汚泥は、下水道普及率が年々増加してきていることから、今後、発生量が増えていくことが予想されるもののひとつである。下水汚泥のリサイクル方法としては、燃料化、建材資材、緑農地利用などがあげられる。下水汚泥はリン資源としての有機性廃棄物として注目されていることから、汚泥肥料としての緑農地利用が推進されており、緑農地利用としてのリサイクル率は増加してきている現状である。肥料の品質は肥料取締法によって規定されており、汚泥肥料には、下水処理施設に流入する汚水などに由来する有害成分が含まれている可能性があることから、重金属類の含有量が規制されている。しかし、肥料取締法では、重金属類の含有量は植物にとっての有害成分の許容含有最大量として定められており、土壌環境基準の観点とは異なるものであるため、肥料取締法に適合する汚泥肥料であっても、土壌汚染を招く有害成分を含有している可能性がある。また、有害成分の含有量が微量であっても、連続施用によって、有害成分が農用地土壌に蓄積することが懸念される。
そこで、廃棄物の適正処理及び安全・安心なリサイクルを推進するために、汚泥肥料の有害成分の土壌中における挙動に関する基礎的な調査研究を実施し、汚泥肥料の安全性などを明確にすることを目的とする。
 

PRTRデータを活用した有害大気汚染物質モニタリング調査の全県域的評価に関する調査研究

  平成8年5月に大気汚染防止法が改正され、低濃度ではあるが長期曝露によって人の健康を損なうおそれのある有害大気汚染物質の対策について制度化され、有害性の程度や大気環境の状況等により健康リスクがある程度高いと考えられる22(現在は23)の「優先取組物質」が地方公共団体(都道府県及び大気汚染防止法の政令市)においてモニタリング調査が行われるようになり、当県でも平成9年10月から調査を実施している。
同調査の事務処理要領および有害大気汚染物質モニタリング地点選定ガイドラインでは、人口や汚染物質の排出量の変化等により、地点を見直すことが明記されている。同一地点でモニタリング調査を継続することは、経年変化を確認するために重要であるが、当県では、平成17年に見直しして以降、10年以上、見直しを実施していないため、現在の汚染物質の排出量等の実状に合っていない可能性がある。そこで、有害大気汚染物質の状況を正しく評価するために、各地域における汚染物質の排出量とモニタリング調査結果の比較の検証および県内における有害大気汚染物質の広域的な調査を行い、通常時における状況をデータとして蓄積し、最適な調査地点を決定する。

光化学オキシダントの挙動における窒素酸化物の影響に関する研究

  全国的にも環境基準達成率が非常に低い光化学オキシダントは、県内では大気汚染常時監視測定局の一般環境測定局24局で測定を行っているが、これまで環境基準を達成している測定局はない。
また、窒素酸化物は自動車排ガスに多く含まれ、光化学オキシダントの生成と消滅に深くかかわっている。しかし、県内の自動車排ガス測定局(自排局)8局では光化学オキシダントの測定を行っておらず、光化学オキシダント濃度と窒素酸化物との詳細な関連性の解明はまだまだ不十分である。
窒素酸化物は光化学オキシダントの挙動において重要な要素であることから、本研究では、窒素酸化物と光化学オキシダントの主成分であるオゾンを同時に測定することで、それらの関連から光化学オキシダントの挙動について明らかにすることを目的とする。


 事後評価

工場排水等のふっ素測定精度の向上に関する研究

 資源循環研究課では、水質汚濁防止法に係る行政検査として工場・事業場排水の測定をする際、公定法(告示法)により測定を実施している。ふっ素は、規制強化の一環で平成13年に新たに「人の健康に係る項目(有害物質)」に追加された項目である。工場・事業場排水のふっ素の公定法には、日本工業規格K0102 34.1(以下「規格」という。)に規定する、「ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法」があり、当課ではこの方法によりふっ素の測定をしている。この測定操作の中に水蒸気蒸留操作(以下「蒸留操作」という。)があるが、ふっ素の蒸留操作は、145±5℃という高温状態を維持して行う必要があり、数ある測定方法の中でも測定条件が特別厳しいため、安定した測定結果を得るには、知識と熟練した技術が必要である。
また、器具の洗浄を含めた1回の蒸留操作の所要時間は2時間以上と長い上、当課で所有する蒸留装置の台数が3基と少ないため、結果として一日に測定できるふっ素の検体数には限りがあるのが現状である。
そこで本研究では、ふっ素測定における蒸留操作等の条件を見直すことで、迅速かつ精度良く測定できる手順の確立を目的とする。

 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 保健環境研究所 〒512-1211 
四日市市桜町3684-11
電話番号:059-329-3800 
ファクス番号:059-329-3004 
メールアドレス:hokan@pref.mie.lg.jp

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