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平成27年10月08日

平成28年度三重県保健環境研究所調査研究評価委員会(環境分野)

研究課題の目的

  事前評価

工場排水等のふっ素測定精度の向上に関する研究

    資源循環研究課では、水質汚濁防止法に係る行政検査として工場・事業場排水等の測定をする際、公定法(告示法)により測定を実施している。ふっ素は、規制強化の一環で平成12年12月に新たに「人の健康に係る項目(有害物質)」に追加された項目である。工場・事業場排水中のふっ素の公定法は、日本工業規格(以下「規格」という。)K0102 34.1に規定する、「ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法」により行う。測定操作の中に水蒸気蒸留操作(以下「蒸留操作」という。)があるが、ふっ素の蒸留は、145±5度という高温状態を維持して行う必要があり、数ある測定方法の中でも測定条件が特別厳しいため、安定した測定結果を得るには、知識と熟練した技術が必要な測定方法である。
また、器具の洗浄を含めた1回の蒸留操作に掛かる時間は2時間以上と長い上、当課で所有する蒸留装置の台数が3基と少ないため、結果として一日に測定できるふっ素の数には限りがあるのが現状である。
そこで本研究では、工場・事業場排水等のふっ素測定において、蒸留操作等における条件を見直すことで、迅速かつ精度良く測定できる手順の確立を目的とする。
 

リサイクル材の環境リスク評価に関する調査研究

  廃棄物のリサイクルについては、廃棄物の性状に応じた適正な処理及び使用用途のもと安全・安心が確保される必要があるが、リサイクルを装った不適正処理や安易なリサイクルが実施され、有害ガスや汚水が発生する等の周辺環境に影響を及ぼす事案も発生している。
また、廃棄物・リサイクル課が実施した「平成27年度未利用廃棄物利活用検討調査」において、三重県下での排出状況やリサイクルの推進に対する課題等について調査したところ、バイオマスボイラー焼却灰、無機性汚泥、塩ビ管等の廃プラスチック、廃石膏ボード、タイル・レンガくず、鋳物砂、スラグが、リサイクルにおける課題として環境リスク等を把握する必要があるとされた。
このようなことから、本研究では、廃棄物の適正処理及びリサイクルの安全・安心の確保のため、環境リスクを把握することが急務であるバイオマスボイラー焼却灰等の廃棄物の潜在的な環境リスク評価を実施するとともに、有効利用方法の方向性を検討することを目的とする。
 

 中間評価

工場・事業場排水におけるBODの簡便な推定法の開発

  三重県では、水質汚濁防止法に基づき、工場・事業場排水の水質監視を行っている。監視項目の中で生物化学的酸素消費量(BOD)は、有機汚濁指標として最も基本的な項目であり、資源循環研究課では年間約150検体の工場・事業場排水の分析を行っている。しかしながら、BODの測定には5日間と時間がかかる上、作業が煩雑で、熟練を要するという問題点がある。
BODの前処理操作において、好気性微生物による5日間の溶存酸素の消費量が、0日目の溶存酸素量の40~70%の範囲となるようにあらかじめ試料を希釈しておくことがJISに明記されている。当課では、当該希釈倍率を、過去の測定結果や化学的酸素消費量(COD)の実測値等を参考にして決定している。BODとCODは相関がある場合もあるが、CODは酸化剤を用いた化学反応による酸素消費量であるのに対し、BODは微生物分解による酸素消費量であるという違いがあるため、試料によってはCODからBODを推測することが困難な場合も多い。適切な希釈倍率の見当がつかない場合は、酸素消費量をJISに規定する適正範囲内となるように多数の希釈倍率の検体を用意しなければならず、労力も時間も掛かっているのが現状である。
 そこで、本研究においては、易分解性有機物に着目し、これを簡易に定量する方法を用いてBODとの相関性を調べることによって、BODを簡易かつ精度良く推測する方法を開発することを目的とする。
 

大気中のオゾンとホルムアルデヒド、アセトアルデヒドの挙動に関する研究

  光化学オキシダントの主成分であるオゾンの測定法を確立し、オゾンと同様に光化学反応で2次生成されると考えられるホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドとの挙動について明らかにする。
 

ジカルボン酸類を利用した微小粒子状物質(PM2.5)の発生源寄与解析に関する研究

  近年、大気中の有機化合物であるジカルボン酸類が、燃焼物の指標として注目されつつある。本調査研究では、まず大気中のジカルボン酸類の実態を把握するため、PM2.5等、大気中粒子状物質に含まれるジカルボン酸類の分析法を検討する。また、当所では、これまでに、陰イオン、金属類等を指標として、PM2.5の発生源等の解析を試みてきている。本調査研究では、陰イオン等の項目に、ジカルボン酸類を追加することで、PM2.5の発生源寄与、高濃度予測等の解析精度の向上を目的とする。
 

  事後評価

環境修復地内での有害物質分解菌の探索

   環境汚染地では様々な有害物質が問題となっている。三重県内にある桑名市五反田地内の環境汚染地は、地下水汚染による周辺住民への健康被害が懸念される中、原因者による修復が不可能であったため、行政による浄化対策が行われている現場である。当現場の有害物質は主に揮発性有機化合物や1,4-ジオキサンであり、揮発性有機化合物については、現在も汚染が残るものの揚水浄化や廃棄物の部分撤去により浄化対策が進んでいるのに対し、平成21年度から新たに地下水の水質汚濁に係る環境基準に加わった1,4-ジオキサンの浄化作業については、既存施設では浄化対策が不可能であったため、平成24年度から地下水揚水を行い、促進酸化法により浄化対策中である。
また、揮発性有機化合物については、当現場及び周辺の地下水から分解菌が見つかっており、微生物分解による浄化作用がわかっているが、1,4-ジオキサン分解菌については、未だ見つかっていない。そのため、1,4-ジオキサンにより汚染されている当現場から分解菌を探索し、単離した菌の分解能力や優良条件を検証することで、新たな知見の集積をはかり、周辺住民の生活環境を改善する現場修復対策への貢献を目的とする。
 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 保健環境研究所 〒512-1211 
四日市市桜町3684-11
電話番号:059-329-3800 
ファクス番号:059-329-3004 
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