平成27年度三重県保健環境研究所調査研究評価委員会(環境分野)
研究課題の目的
事前評価
廃棄物溶出試験における重金属類測定手法の確立に関する研究
資源循環研究課では、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45 年12 月25日)に基づく行政検査として産業廃棄物(以後「産廃」という。)の溶出試験を行う際、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」(昭和48年2月17日「環境庁告示第13号」)により実施している。
産廃とは、事業活動において発生した不要物の総称であるが、一口に産廃といっても、燃え殻、汚泥、廃プラスチック等20品目に渡る種類があり、かつ発生する状況を考慮すれば同一の性状は存在しないと言って良い。また、産廃の中には、有害・無害を問わず様々な物質が高濃度で含まれている場合も多く、産廃の試験をする際は、その都度それぞれの性状に応じた適切な前処理が必要となる。したがって、産廃溶出試験は、前処理や測定装置に関する知識や技術、そして経験を要し、時間や手間がかかる測定法である。そこで本研究では、産廃の重金属等の測定について、できるだけ多様な産廃に適用可能な測定方法の確立を目的とする。
中間評価
環境修復地内での有害物質分解菌の探索
廃棄物不適正処分地では様々な有害物質が問題となっている。三重県内にある桑名市五反田地内の廃棄物不法投棄現場は、地下水汚染による生活環境保全上の支障が懸念される中、原因者による修復が不可能であったため、行政代執行による浄化対策が行われている現場である。当現場の有害物質は主に揮発性有機化合物や1,4-ジオキサンであり、揮発性有機化合物については、現在も汚染が残るものの揚水浄化や廃棄物の部分撤去により浄化対策が進んでいるのに対し、平成21年度から新たに環境基準に加わった1,4-ジオキサンについては、既存施設では浄化対策が不可能であったため、促進酸化設備を整備し、平成24年度から地下水揚水を再開して促進酸化法により浄化中である。
また、揮発性有機化合物については、当現場および周辺の地下水から分解菌が見つかっており、微生物分解による浄化作用の存在がわかっているが、1,4-ジオキサン分解菌については、未だほとんど明らかになっていない。そのため、1,4-ジオキサンにより汚染されている当現場から分解菌を探索するとともに、現場の菌叢全体としての1,4-ジオキサン分解至適条件を把握することで、新たな知見の集積をはかり、現場修復対策へ貢献することを目的とする。
事後評価
環境大気中におけるアルデヒド類の測定方法等に関する研究
有害大気モニタリング調査におけるアルデヒド類(ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒド)の多湿時における測定方法等について検討を行い、改善することにより、大気環境保全に寄与する。
環境大気中研究微小粒子状物質(PM2.5)発生源推定に関する研究
PM
工場排水等の六価クロム測定手法の確立に関する研究
資源循環研究課では、水質汚濁防止法に係る行政検査として工場・事業場排水等の測定をする際、公定法(告示法)により測定を実施している。測定対象項目は、大別して「人の健康に係る項目(有害物質)」と「生活環境に係る項目(一般項目)」があるが、有害物質の中でも、特に六価クロムにおいては、測定方法が妨害物質の影響を受けやすく、排水の性状によっては通常の操作では測定が困難な場合がある。測定妨害物質が存在する場合は、告示に詳細な操作の記載がないため、その都度、手順について検討・判断しなければならないのが現状である。そこで本研究では、六価クロムの測定について、詳細な手順の記載がない箇所の操作手順を明確化することおよび告示法では測定が困難な場合の分析方法の確立を目的とする。