平成20年度第1回三重県保健環境研究所調査研究評価委員会
研究課題の概要
中間評価
地域性を考慮した農産物中残留農薬一斉分析法に関する研究 (平成19~21年度)
農薬等のポジティブリスト制度により、残留基準が設定された農薬等が大幅に増加し、県内の使用実態に合わせてより効果的な検査を行うことが必要となったため、主にLC/MS及びGC/MSを用いた一斉分析法を検討し、県内の農薬使用実態及び全国の違反事例を反映した分析法を確立する。また、確立した試験法を、県で行う収去検査に活用できるようにする。
性感染症予防推進戦略的サーベイランス研究事業(平成19~21年度)
性感染症(Sexually Transmitted Diseases:STD)4疾患(性器クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症、尖形コンジローマ、淋菌感染症)の患者発生状況を正確に把握するため、感染症法に基づく現行の患者定点サーベイランス(県内15ヶ所の指定届出医療機関(定点)での患者数調査)に加え、平成19~20年度に患者全数サーベイランス(産婦人科、皮膚科、泌尿器科、性病科を標榜する県内436ヶ所の医療機関での患者全数調査)を行う。
この調査結果に基づき、21年度に現行定点の科学的妥当性を検証するとともに、三重県感染症発生動向調査企画委員会の意見を聴いて、指定見直しのための提言を行う。また、患者全数サーベイランスの調査結果を県民、関係機関あてにリアルタイムに情報発信し、効果的な予防・まん延防止対策の推進に繋げる。
インフルエンザ流行予報システム開発等総合研究事業(平成18~20年度)
平成18~20年度の3ヶ年計画で、インフルエンザの患者発生に影響する要因解明と流行予測モデルを開発するとともに、予測情報の発信のあり方を検討する。
また、国立三重病院等県内医療機関から臨床データの提供を受け、乳幼児に対する適切なワクチン接種用量と接種方法を解明し、その研究成果情報を的確に発信する。
遺伝子解析を用いた結核感染動向及び多剤耐性結核菌に関する研究(平成19~21年度)
結核発生予防対策の一環として、結核菌の遺伝子型別のデータ集積、結核菌の迅速検査法の確立及び迅速な薬剤耐性試験法について研究する。
浄水汚泥の有効利用方法に関する研究(平成19年度~21年度)
水道事業から発生する浄水汚泥は土壌改良材、園芸用土等に利用されてきたが、最近再生利用先が減少し、産業廃棄物として処分されるようになった。
そこで、新規の浄水汚泥有効利用方法として、土壌脱臭資材等環境浄化材料への適用について研究を実施する。
廃棄物リサイクル製品の安全性評価のための分析手法開発に関する研究(平成19~21年度)
従来行われていた溶出試験による安全性評価を補完する手法の一つとして、製品に含まれる重金属類等問題となる可能性のある物質の環境中での挙動を予測できる試験法の開発を目指す。
ファイトレメディエーションによる汚染土壌浄化方法の開発(平成19~21年度)
土壌汚染対策法の施行により、工場跡地や廃棄物投棄現場等の土壌汚染が問題となる事例が増加しており、特に重金属で汚染された土壌の処分地の確保が困難となっている。
そこで、植物を利用した環境に優しい方法を用いて、土壌から重金属を除去する効率的なファイトレメディエーション技術の開発を行う。
大気中微小粒子に含まれる多環芳香族炭化水素等実態調査研究(平成19~21年度)
浮遊粒子状物質(SPM)のうち、粒径2.5μm以下の微小粒子(PM2.5)に含まれ発癌性や変異原性のある多環芳香族炭化水素(PAHs)の測定手法を検討して確定するとともに、モニタリング調査を実施して、確定手法によるPAHs測定をはじめとして、PM2.5濃度、炭素成分等の含有成分測定を実施し汚染の実態を継続的に把握し、解析評価する。
日本脳炎ウイルスの動向等に関する研究(平成19~21年度)
日本脳炎ワクチンが急性散在性脳脊髄炎発症と因果関係があるとされ、ワクチン接種率の低下が予想されている。
そこで日本脳炎の感染リスク調査及びウイルスの動向調査に関する研究を実施する。