「アルミニウムおよび燐の分別回収方法」の発明にかかる特許取得(資源循環研究課)
(1)特許の内容
下水処理場や工場から排出される汚泥には、多量のリンが含まれています。リンは、化学肥料や工業材料として幅広く使用されていますが、汚泥からリンを工業的に回収する方法は確立されていないため、リンを含んだ汚泥は廃棄物として処理されています。
科学技術振興センター保健環境研究部(現三重県保健環境研究所)では、汚泥焼却灰に硫酸を加えてリンやアルミニウムを溶解し、これに硫酸アンモニウム(硫安)を加えてアルミニウムを回収し、さらに炭酸ソーダなどのアルカリを加えてリンを回収する方法を検討した結果、これら焼却灰からミョウバン(明礬)としてアルミニウムを、 さらに燐酸ソーダとしてリンを回収する技術を開発し、このたび特許を取得しました。
(2)経緯
この特許は、平成10年12月28日に出願し、平成16年11月5日付けで登録されました。
(登録番号 特許第3612543号)
(3)開発した特許の効果
リンは枯渇が懸念されている資源で、アメリカでは既にリンの輸出を 止めています。日本は、全て中国・モロッコからの輸入でまかなってい ますが、今後中国の経済発展により中国国内で消費され、輸出にまわ らなくなるおそれがあります。そうした中、この技術により、これまで汚泥 として排出されていたリンの回収が可能となり、貴重なリン資源の確保 につながることが期待されます。
また、現在汚泥の一部はセメントの材料として使用されていますが、 セメントとしての基準を満たすため、リン等不純物の除去が、汚泥を セメントに利用する場合の課題となっています。この技術により、汚泥 からリン、アルミニウムの回収が可能となり、リン資源の確保だけでな く、汚泥を有効利用する方法としても期待されます。
(4)今後の対応
本特許の利用を進めるため広報に努めるとともに、関連企業との共同研究による実証試験をとおして技術移転を図ります。
<問い合わせ先>
三重県保健環境研究所資源循環研究課
TEL:059-329-2911 FAX:059-329-2924