平成19年度第1回三重県科学技術振興センター保健環境研究部調査研究評価委員会
研究課題の概要
事前評価
カキ養殖海域におけるノロウイルス汚染リスク低減の研究(平成19~21年度)
ノロウイルス感染症の流行に伴う風評被害から、県内産カキの生産量が大きく減少した。このため、カキのノロウイルス汚染の解明及びカキによる健康被害発生防止を目的にカキ養殖海域におけるノロウイルスの動向調査やカキによる健康被害発生要因の検証を実施する。
中間評価
インフルエンザ流行予報モデル開発等総合研究事業(平成18~20年度)
平成18~20年度の3ヶ年計画で、インフルエンザの患者発生に影響する要因解明と流行予測モデルを開発するとともに、予測情報の発信のあり方を検討する。
また、国立三重病院等県内医療機関から臨床データの提供を受け、乳幼児に対する適切なワクチン接種用量と接種方法を解明し、その研究成果情報を的確に発信する。
未承認医薬品中医薬品成分(麻黄及びエフェドリン等)の試験法開発(平成18~19年度)
含有されるはずのない医薬品成分が混入した未承認医薬品による健康被害事例がみられることから、各種製品中の医薬品成分の定量法を開発し、健康被害を未然に防止することを目的とする。18年度からは麻黄及びエフェドリンについて検討する。
飲料水中のビニルクロライドに関する研究(平成18~19年度)
県内の地下水において、産業的な発生源からの汚染と考えられる塩素系有機溶剤(トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等)の検出事例は数多くある。
これら有機塩素系溶剤の分解により、より毒性の高いビニルクロライドが生成し地下水を汚染することが懸念されるが、県内での地下水中ビニルクロライド分析や調査は行われておらず、実態については全く不明であることから、2年計画でビニルクロライド微量分析法の検討と開発、水中ビニルクロライド濃度及び塩素系有機溶剤濃度の実態把握調査を行い、生分解との関係を明らかにし、市町村の水道事業者等へ技術移転を行う。
BDF製造工程の廃水処理法に関する研究(平成18~19年度)
廃油(テンプラ油等)を燃料(BDF)として再利用する方法が、再生エネルギー面から注目を浴び、本県でも紀北町をはじめとして、民間企業も環境・資源循環に取り組んでいる。
しかし、BDF燃料として現実に使用するには、粗BDFを十分に水洗し、共存物質を除去する必要があり、この洗浄水には高濃度の油分が含まれるため、そのままでは公共用水域には放流できない。
本研究は、これまでの研究成果である油分解菌を利用し、高濃度の油を微生物分解できるような排水処理装置を開発し、その最適条件を把握し、最終的にはこれを技術移転することを目指している。
最終評価
麻しん及び風しんの制圧を目指した予防接種に関する研究(平成16~18年度)
麻しんは成人が罹患した場合重症化する恐れが高く、風しんは妊娠初期の女性が罹患すると出生児に先天性風しん症候群を発生する恐れが高いこと等から、ワクチン接種による予防対策の推進が重要な感染症とされている。
このため、県内における麻しん・風しん患者発生総数、県内市町村における麻しん・風しんの予防接種実施状況(月齢別の予防接種率)等の実態調査を行うとともに、これらの関連性を解明することにより、県内で発生する麻しん・風しんの制圧を目指した予防接種率の数値目標を明らかにし、市町村における予防接種事業推進のための科学的根拠を提供するための研究を行う。
腸炎ビブリオ等病原微生物に関する研究(平成14~18年度)
腸炎ビブリオ予防対策法策定するために自然界・食品中の低温,飢餓状況によってVNCとなっている腸炎ビブリオを定量的に計測する技術の開発を行うとともに、腸炎ビブリオの菌学的特性を生物学的、分子生物学的手法を用いて解析する。さらに感染症動向調査で検出される微生物の病原学的解析も行う。
動物由来感染症の分布・動向に関する研究(平成14~18年度)
動物由来感染症微生物の分布調査を動物、環境、ヒトで実施して、生物学的、免疫学的及び遺伝学的な特性や因子を解析し、感染源、感染ルートを研究する。また、最近問題となっているバイオテロリズムにも対応できる体制を作る。
硫酸ピッチ対応技術開発に関する研究(平成17年度~18年度)
県内各地で硫酸ピッチの不適正処理が報告され行政の対応が求められているが、周辺環境の早急な改善、行政検査職員の保護のため応急的な対応法が必要とされていることから、硫酸ピッチの不適正処理発生時の応急的対応のための技術を開発する。
廃棄物の性状分析の迅速化に関する研究(平成17~18年度)
廃棄物の性状分析の迅速化を図るため、高濃度で共存物質が含まれる溶出液や浸出液の効率的な前処理法の検討を行うとともに、重金属類の含有量の測定のための試料分解条件の検討を行う。
大腸菌群数の定量方法の検討(平成17~18年度)
特定酵素基質培地法と従来からの大腸菌群及び大腸菌の試験法の定量結果を比較して、特定酵素基質培地法を常時監視使用する場合の適正を評価する。さらに本培地を利用して、公共用水域におけるふん便汚染の実態把握及び大腸菌群等の挙動を把握する。
環境大気中浮遊粒子状物質の実態調査研究(平成16年度~18年度)
健康への影響が懸念されている環境大気中の浮遊粒子状物質、特に微小粒子の挙動を明らかにするため、粒子の濃度や内容成分について実態を把握するとともに、発生源寄与について検討する。