平成17年度第1回三重県科学技術振興センター保健環境研究部調査研究評価委員会
研究課題の概要
中間評価
基礎疾患を有するハイリスクグループ等に対するインフルエンザワクチン効果に関する 疫学研究(平成15~17年度)
呼吸器・循環器系慢性疾患患者、慢性代謝性疾患・腎機能障害患者、アスピリン長期投与者等のインフルエンザハイリスクグループに対する発生予防とまん延防止の推進に資するため、県内医療機関と共同で予防対策の「かなめ」として期待されているインフルエンザワクチンの有効性と安全性に関する研究を行う。
三重県で発生する麻しん及び風しんの制圧を目指した予防接種に関する研究(平成16~18年度)
麻しんは成人が罹患した場合重症化する恐れが高く、風しんは妊娠初期の女性が罹患すると出生児に先天性風しん症候群を発生する恐れが高いこと等から、ワクチン接種による予防対策の推進が重要な感染症とされている。
このため、県内における麻しん・風しん患者発生総数、県内市町村における麻しん・風しんの予防接種実施状況(月齢別の予防接種率)等の実態調査を行うとともに、これらの関連性を解明することにより、県内で発生する麻しん・風しんの制圧を目指した予防接種率の数値目標を明らかにし、市町村における予防接種事業推進のための科学的根拠を提供するための研究を行う。
腸炎ビブリオ等病原微生物に関する研究(平成14~18年度)
腸炎ビブリオ予防対策法策定するために自然界・食品中の低温,飢餓状況によってVNCとなっている腸炎ビブリオを定量的に計測する技術の開発を行うとともに、腸炎ビブリオの菌学的特性を生物学的、分子生物学的手法を用いて解析する。さらに感染症動向調査で検出される微生物の病原学的解析も行う。
動物由来感染症の分布・動向に関する研究(平成14~18年度)
動物由来感染症微生物の分布調査を動物、環境、ヒトで実施して、生物学的、免疫学的及び遺伝学的な特性や因子を解析し、感染源、感染ルートを研究する。また、最近問題となっているバイオテロリズムにも対応できる体制を作る。
三重県内に流通している食品中の残留農薬に関する研究(平成16~18年度)
行政における食品検査数が5~6倍増となり、農産物、加工品中の残留農薬について精度が高く、多成分を迅速に行う農薬一斉分析法を開発する。
未承認医薬品中医薬品成分の試験法開発事業
(1)未承認医薬品中センナの試験法開発(平成16年度~17年度)
含有されるはずのない医薬品成分が混入した未承認医薬品による健康被害事例がみられることから、各種製品中の医薬品成分の定量法を開発し、健康被害を未然に防止することを目的とする。16年度からはセンナについて検討する。
酸性雨調査研究(平成元年度~13年度(第1次)、平成14年度~(第2次))
平成13年度まで県下6地点で降水の酸性化状況等の実態把握を行い酸性度の変化や構成イオンによる地域特性等を明らかにしてきた。
14年度からは産業活動の影響を受けやすい地域とその後背地の2地点で降水についての調査を継続実施するとともに、15年度からは新たにガス状成分を併せて調査している。
環境大気中浮遊粒子状物質の実態調査研究(平成16年度~18年度)
健康への影響が懸念されている環境大気中の浮遊粒子状物質、特に微小粒子の挙動を明らかにするため、粒子の濃度や内容成分について実態を把握するとともに、発生源寄与について検討する。
最終評価
無機系廃棄物の建材化研究(平成14~16年度)
一般廃棄物やRDFなどに由来する焼却灰が増加し、その有効利用が重要となっている。この有効利用を図るため、焼却灰にアルカリを加えて180℃、10気圧の水熱処理によりトバモライト(珪酸カルシウム系の化合物)を合成し、機能性の建材等とする技術開発を行う。
化学物質の生体影響(発ガン性)に関する研究(平成14~16年度)
環境化学物質が生体内で代謝等の変化を受け、DNA損傷などを引起し発ガンのイニシエーターとなる可能性についての研究。
ICP/MSによる重金属一斉分析法の開発(平成15~16年度)
問題発生時に迅速な対応を可能とするよう、重金属の一括分析法の技術開発を行う。
環境中の農薬分析迅速定量法(平成15~16年度)
問題発生時等の環境危機への円滑な対応のため、環境中の農薬を対象に機器分析の迅速かつ高精度な分析技術開発を行う。H15年度のGC/MSによる検討に続いて、H16年度はLCを用いて検討する。