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令和元年12月16日

保環研年報 第21号(2019)

 

 三重県保健環境研究所年報 第21号(通巻第64号)(2019)を発行しましたのでその概要をご紹介します。

 

各研究報告(原著、ノートおよび資料)の全文(PDF形式)をご希望の方は、こちらからダウンロードできます。

 

研究報告

原 著

 ・2019rep1  抗インフルエンザ薬バロキサビル マルボキシルにおける耐性変異を有する季節性A型インフル
                        エンザウイルスの動向把握-三重県(2018/19シーズン)
 
   矢野拓弥,赤地重宏,松村義晴
 
   キーワード:抗インフルエンザ薬,バロキサビル マルボキシル,薬剤感受性試験,抗インフルエンザ薬耐
                          性株サーベイランス
 
 2018年10月から2019年4月までに三重県で分離されたA(H1N1)pdm09ウイルス(28株)およびA(H3N2)ウイルス(29株)について,新規の抗インフルエンザ薬であるバロキサビル マルボキシル(バロキサビル)に対する耐性変異の指標であるPolymerase acidic subunit(PA)遺伝子の38番目のアミノ酸配列解析を実施した.
 2018年11月にバロキサビルの投薬歴がない小児患者から分離されたA(H3N2)ウイルス(1株)はPA I38T耐性変異を有していた.この患児はバロキサビル未投与であったことから,バロキサビルの投与により選択的に患者体内でPA I38T耐性変異ウイルスが増殖した可能性は否定された.本事例はPA I38T耐性変異ウイルスが,ヒトからヒトへ伝播した可能性を示唆している.
 
 ・2019rep2  人および伴侶動物から分離される基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌
 
   永井佑樹,楠原 一,小林章人,赤地重宏
 
   キーワード:ESBL,伴侶動物,ST131
 
 近年,薬剤耐性(AMR)の一つである基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌の拡散が社会的に大きな問題となっているが,伴侶動物における実態は不明な点も多い.そこで今回犬猫を対象にESBL産生菌の保菌率を調査し,人由来の株と比較を行った.その結果,人のESBL産生菌の保菌率は12.5%,犬猫の保菌率は8.6%であった.人と犬猫で共通したvariant型は,bla CTX-M-14bla CTX-M-15bla CTX-M-65bla CTX-M-79の4種類みられたが,POT法による分子疫学解析の結果,共通したPOT型は確認されなかった.また今回の調査では,人で流行しているパンデミッククローンST131は犬猫では確認されなかった.大腸菌の系統発生群解析では,人では病原性が高いとされるB2,D群が大多数(93.3%)を占めるのに対し,犬猫ではA,B1群が優勢(77.8%)であった.以上から,人および犬猫由来ESBL産生大腸菌は本来異なる遺伝系統であり,人と健康な犬猫間では菌が伝播している可能性は低いと考えられた.しかしながら, レプリコンタイプではIncFIBやIncI1など人と犬猫で共通したtypeがみられることや,最近の研究でESBLを産生するST131クローンが既に動物病院の犬猫で確認されていることから,今後,市中の健康な犬猫の間でも,人と同じようにST131クローンが拡散していく可能性が示唆された.

 ・2019rep3 三重県におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症
 
   永井佑樹,小林章人,赤地重宏
 
   キーワード:CRE,CPE,  bla IMP-6 bla KPC-2ステルス型
 
 2017年4月から2019年3月までに三重県内の医療機関で検出されたカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)53株について,詳細な解析を実施した.分離されたCRE 53株のうちカルバペネマーゼ産生株(CPE)は19株(35.8%)確認され,IMP型が18株,KPC型が1株であった.検出されたカルバペネマーゼ遺伝子のバリアント型は,IMP型の18株は全てbla IMP-6,KPC型の1株はbla KPC-2であることが確認された.また今回検出されたbla IMP-6を保有する株は全てIncNプラスミドを保持しており,18株のうち15株はCTX-M-2 groupのESBL(Extended spectrum β-lactamase)を同時に保有していた.このbla IMP-6 産生株はいわゆるステルス型と呼ばれるタイプでイミぺネムに感受性を示すことがあり,今回検出されたbla IMP-6産生株も18株中16株がイミぺネムに感受性であった.また今回海外型カルバペネマーゼであるbla KPC-2 産生株が1株確認され,MLST (Multi Locus Sequence Typing) 解析の結果はST48(CG43)であった.以上の結果から三重県においてもCPEが複数株検出され,海外型を除けば全てがbla IMP-6産生株であることが明らかとなった.また海外型CPEも1株確認されたことから,海外から侵入してくる新型のCPEをできるだけ早期に探知し,国内に定着させないことが非常に重要であると思われた.
 
 ・2019rep4 三重県における雨水中の酸性沈着物質の長期変動
 
   国分秀樹,小河大樹,松谷知幸,寺本佳宏,佐藤邦彦,小川正彦
 
   キーワード:三重県,酸性雨,pH,非海塩性硫酸イオン, 硝酸イオン
 
 2003 年4月から2016 年3月に三重県四日市市桜町で実施した雨水中の酸性沈着物質の調査結果と全国の雨水中の酸性沈着物質の変動を解析することにより,三重県内の酸性雨の変動の特徴について検討した.2003年から2016年までの雨水中の酸性沈着物質の解析の結果,三重県四日市における雨水のpHは上昇傾向に,非海塩性の硫酸イオンや硝酸イオン濃度は減少傾向にあることが明らかになった.また,四日市に降下する酸性物質の約40~50%程度が県内から,50~60%が日本海側からの酸性物質の越境の影響によることが推測された.双方ともに2003年以降改善傾向にあり,大気汚染防止法や自動車 NOx・PM法をはじめとする,大気環境施策の効果が現れてきていると考えられた.
 

ノート

 ・2019rep5   三重県における過去10年間の風しんの血清疫学調査について(2009~2018年)
 
   矢野拓弥,赤地重宏,松村義晴
 
   キーワード:風しんHI抗体保有率,風しん幾何平均抗体価(GMT),先天性風しん症候群(CRS)
 
 2014年~2017年の風しん患者は減少傾向であったが,2018年には全国で風しん患者が多数報告され再流行に転じた.風しんの流行は2019年においても継続しており,妊娠女性(胎児)への感染により先天性風しん症候群(congenital rubella syndrome:CRS)の発生が危惧されている.
 三重県における過去10年間の風しんウイルスに対する赤血球凝集抑制(Hemagglutination inhibition:HI)試験による抗体保有状況の調査を実施したところ,成人男性は成人女性のHI抗体保有率と比較して,各年齢群で下回る傾向がみられた.成人の男性および女性ともに陰性者あるいは低い抗体価の者の存在が,今後の風しん患者の発生および増加に繋がることが予想される.このことから成人男性の風しんワクチン接種率向上により,男性の風しん患者を抑制することが,CRS発生の低減に繋がるものと思われる.
 
 ・2019rep6 季節性インフルエンザウイルスの遺伝子系統樹解析およびオセルタミビル薬剤耐性インフルエ
        ンザウイルスの検出状況(2018/19シーズン)-三重県

 
   矢野拓弥,赤地重宏,松村義晴
 
   キーワード:季節性インフルエンザウイルス,遺伝子系統樹解析,薬剤耐性ウイルス,2018/19シーズン
 
 2018/19シーズン(2018年第36週~2019年第20週)に分離・検出された季節性インフルエンザウイルスについてHemagglutinin(HA)遺伝子の系統樹解析を実施した.AH1pdm09インフルエンザウイルスは全てクレード6B.1Aに属していたがHAアミノ酸置換(S183P)に加え,さらに異なるHAアミノ酸置換を有する複数の群(183P-1~183P-7)に分類された.AH3亜型インフルエンザウイルスは多くがサブクレード3C.2a1bに分類され,ワクチン株と同一クレードに属していたが,共通のHAアミノ酸を持たない集団が多く形成され遺伝子的に多様化がみられた.B型インフルエンザウイルス(B型ビクトリア系統)は,クレード1Aとサブクレード1A.1に属するウイルスが分離された.クレード1Aには,3つのHAアミノ酸の欠損を有するウイルスが確認された.また,サブクレード1A.1は2つのHAアミノ酸が欠損したウイルスが確認された.
AH1pdm09インフルエンザウイルスの抗インフルエンザ薬であるオセルタミビルについてNeuraminidase(NA)アミノ酸置換(H275Y)の有無による薬剤耐性変異を調べたところ,院内での集団発生事例からオセルタミビル投与歴のある患者より分離された2株がH275Y耐性変異を有するウイルスが検出され,そのうち1株はH275HおよびH275Yが混在するウイルスであった.
 
 ・2019rep7 工場排水等のふっ素測定精度の向上に関する研究
 
   近藤笑加,立野雄也,有冨洋子
 
   キーワード:ふっ素,水蒸気蒸留,アルフッソン退色,L(+)-アスコルビン酸
 
 工場・事業場排水中に含まれるふっ素およびその化合物の測定方法であるランタン‐アリザリンコンプレキソン吸光光度法について,測定精度向上,遊離塩素による発色妨害への対処手法について検討した.蒸留時に添加する酸としては過塩素酸で良好な回収率となった.蒸留の留出速度を毎分3~5mLに維持したとき,回収率が最大となった.排水基準を超過するような濃度の銅,亜鉛,マンガンおよびクロムが共存していても水蒸気蒸留操作を行うことで共存物質の影響を防止できた.遊離塩素による発色妨害がある場合は,発色試薬添加前に還元剤としてL(+)-アスコルビン酸100mgを添加する方法で簡便的な対処が可能であることがわかった.
   
 ・2019rep8 伊勢湾の水質構造調査
 
   渡邉 卓弥,奥山 幸俊,有冨 洋子,辻 将治,大八木 麻希,千葉 賢
 
   キーワード:伊勢湾,水質構造,植物プランクトン,貧酸素水塊
 
 伊勢湾の伊良湖水道を挟んだ湾内から外海にかけて,鉛直方向の水質について調査したところ,伊勢湾内から外海にかけての縦断面の水質構造は,湾央では鉛直混合が弱く密度成層が生じ,底層付近では貧酸素水塊が広がる一方で,伊良湖水道付近では強い鉛直混合により,水質の一様化が生じていた.クロロフィル極大層は湾央から湾口にかけて水深10m付近に発生していた.また,光量子と栄養塩濃度のバランスが極大層の発生水深に影響を及ぼしていると考えられた.湾口から外海にかけては渦鞭毛藻類はほとんど存在せず,湾央付近においては,渦鞭毛藻類もある程度確認されたものの,それぞれ珪藻類が大多数を占めていた.
 
 ・2019rep9 伊勢湾の有機物の分解特性に関する研究(その2)
 
   渡邉 卓弥,奥山 幸俊,有冨 洋子,辻 将治,柘植 亮,大八木 麻希,千葉 賢
 
   キーワード:伊勢湾,有機物,生分解,分解特性
 
 伊勢湾内の底層では毎年夏季を中心に貧酸素水塊が発生しているが,発生面積の減少が見られず,長期化が問題となっている.貧酸素水塊の発生要因として,水中に存在する有機物の分解時の酸素消費が挙げられることから,有機物の分解に着目した調査を行った.
 伊良湖水道を挟んだ外海2地点,湾口1地点を選定し,表層水および底層水を用いた生分解試験を行った結果,湾口に存在する易分解性有機物の分解特性時間は表層で9.8日,底層で13.9日であった.また,外海から湾内に向けてTOC約1.0mg/Lの難分解性有機物が湾口で鉛直混合されながら中底層へ流入していることが示唆された. 
 

資料

 ・2019rep10  三重県独自の調査様式による性感染症サーベイランス結果(2018年)
 
   岩出義人,原 康之,山内昭則,樋口奈津子
 
   キーワード:性感染症,サーベイランス,無症状病原体保有者,パートナー検診,咽頭感染
 
 性感染症は感染しても無症状や軽症にとどまる場合が多く,自覚症状がある場合でも医療機関を受診しないことがある(性感染症に関する特定感染症予防指針1))ため,感染の実態を把握することが困難となっている.また,感染症法に基づく発生動向調査で把握される全国の報告数は全体的に減少傾向がみられるものの,依然として十代半ばから二十代にかけての若年層における発生の割合が高いことに加え,性行動の多様化により咽頭感染などの増加が懸念され,対策の必要性が指摘されている.しかし,現行の発生動向調査による性感染症サーベイランスでは,無症状病原体保有者,咽頭感染,混合感染などを把握することはできない.このことから,三重県では,独自の調査様式による性感染症サーベイランスを2012年1月から開始した.以下に,2018年の概要を報告する.
 
 ・2019rep11 2018年度の先天性代謝異常等検査の概要
 
   小林章人,内山信樹,山寺基子,赤地重宏
 
       キーワード:先天性代謝異常等検査,先天性副腎過形成症,先天性甲状腺機能低下症,先天性アミノ酸代
         謝異常症,先天性有機酸代謝異常症,先天性脂肪酸代謝異常症
 
 先天性代謝異常症とは遺伝子変異の結果,特定の蛋白質が合成されないために発症する疾患,ある種の酵素の異常や到達経路の異常により代謝されるべき物質の貯留によって発症する疾患と定義されている.現在では,酵素化学的研究および分子遺伝学的研究の進展に伴い遺伝子異常の本態が明らかになりつつあるが,その病態に関しては不明な部分が多く,病因解明に比し治療法の遅れが指摘されている.
 アミノ酸代謝異常症,有機酸代謝異常症,脂肪酸代謝異常症はそれぞれアミノ酸,有機酸,脂肪酸などの中間代謝産物の蓄積に起因する疾患である.一方,内分泌疾患である先天性甲状腺機能低下症(Congenital hypothyroidism)と先天性副腎過形成症 (Congenital adrenal hyperplasia) は特定物質の合成障害に起因する疾患である.先天性代謝異常等症は治療困難なものが多いが,可及的早期に診断,治療を開始すれば,機能障がいなどに陥ることを予防できる疾患もある.
 新生児を対象とした先天性代謝異常症マス・スクリーニング事業は,1977年10月から全国的に開始され,三重県においても1977年11月から県内で出生した新生児を対象に5疾患(フェニルケトン尿症,メープルシロップ尿症,ホモシスチン尿症,ヒスチジン血症およびガラクトース血症)について検査が開始された.次いで1979年から先天性甲状腺機能低下症が,1989年から先天性副腎過形成症が追加され,1994年にはヒスチジン血症が中止となっている.2013年3月にはアミノ酸代謝異常症2疾患(シトルリン血症Ⅰ型,アルギニノコハク酸尿症),有機酸代謝異常症7疾患(メチルマロン酸血症,プロピオン酸血症,イソ吉草酸血症,メチルクロトニルグリシン尿症,ヒドロキシメチルグルタル酸血症,複合カルボキシラーゼ欠損症,グルタル酸血症Ⅰ型),脂肪酸代謝異常症4疾患(MCAD欠損症,VLCAD欠損症,三頭酵素欠損症,CPTⅠ欠損症)の計16疾患を対象疾患に追加し19疾患3) となり,さらに2018年4月よりCPTⅡ欠損症が加わり、現在は上記20疾患についてマス・スクリーニングを行い早期発見に努めている.なお,当所および三重大学における先天性代謝異常等検査については2019年3月25日受付の検体までとなり,以後は岐阜県公衆衛生検査センターにて実施している.
 
 ・2019rep12  2018年度感染症流行予測調査結果(日本脳炎,インフルエンザ,風疹,麻疹)の概要
 
   矢野拓弥,楠原 一,中野陽子,小林章人,赤地重宏,松村義晴
 
   キーワード:感染症流行予測調査,日本脳炎,インフルエンザ,風疹,麻疹
 
 本事業は1962年から「伝染病流行予測調査事業」として開始している.その目的は集団免疫の現状把握および病原体の検索等を行い,各種疫学資料と併せて検討することによって,予防接種事業の効果的な運用を図り,さらに長期的視野に立ち総合的に疾病の流行を予測することである.その後,1999年4月「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の施行に伴い,現在の「感染症流行予測調査事業」へと名称変更された.   
ワクチンによる予防可能疾患の免疫保有調査を行う「感受性調査」およびヒトへの感染源となる動物の病原体保有を調査する「感染源調査」を国立感染症研究所および県内関係機関との密接な連携のもとに実施している.これまでの本県の調査で,晩秋から初冬に日本脳炎ウイルス(JEV)に対する直近の感染を知る指標である2-メルカプトエタノール(2-ME)感受性抗体が出現1)したことなど興味深い現象が確認されてきた.また,以前は伝染病流行予測調査事業内で実施されていたインフルエンザウイルス調査において,1993/94シーズンに分離されたインフルエンザウイルスB型(B/三重/1/93株)が,ワクチン株に採用された等の実績がある.ヒトの感染症における免疫状態は,各個人,地域等,さまざまな要因で年毎に異なるので,本年度採取できた血清は同一人であっても毎年の免疫状態とは必ずしも同じではないことが推察される.これらのことはヒト血清だけでなく動物血清についても同様であり,毎年の感染症流行予測調査事業における血清収集は重要である.集団免疫の現状把握と予防接種事業の促進等,長期的な流行予測調査が感染症対策には不可欠であるので,本調査のような主要疾患についての免疫状態の継続調査は,感染症の蔓延を防ぐための予防対策として必要性は高い.以下に,2018年度の感染症流行予測調査(日本脳炎,インフルエンザ,風疹,麻疹)の結果について報告する.
 
 ・2019rep13 2018年感染症発生動向調査結果
 
   楠原 一,矢野拓弥,中野陽子,永井佑樹,内山信樹,小林章人,赤地重宏
 
   キーワード:感染症発生動向調査事業,病原体検査定点医療機関,感染性胃腸炎,麻疹,日本紅斑熱,イ
         ンフルエンザ
 
 感染症発生動向調査事業の目的は,医療機関の協力を得て,感染症の患者発生状況を把握し,病原体検索により当該感染症を微生物学的に決定することで流行の早期発見や患者の早期治療に資することにある.また,感染症に関する様々な情報を収集・提供するとともに,積極的疫学調査を実施することにより,感染症のまん延を未然に防止することにもある.
 三重県では,1979年から40年にわたって本事業を続けてきた.その間,検査技術の進歩に伴い,病原体の検出に必要なウイルス分離や同定を主としたウイルス学的検査や血清学的検査に加えてPCR法等の遺伝子検査やDNAシークエンス解析を導入し,検査精度の向上を図ってきた.さらに検査患者数の増加により多くのデータが蓄積されてきた結果,様々な疾患で新たなウイルスや多様性に富んだ血清型,遺伝子型を持つウイルスの存在が明らかになってきた.
 以下,2018年の感染症発生動向調査対象疾患の検査定点医療機関等で採取された検体について,病原体検査状況を報告する.
 
 ・2019rep14 三重県における2018年度環境放射能調査結果
 
   西 智広,森 康則,吉村英基
 
   キーワード:環境放射能,核種分析,全ベータ放射能,空間放射線量率
 
 日本における環境放射能調査は,1954年のビキニ環礁での核実験を契機に開始され,1961年から再開された米ソ大気圏内核実験,1979年スリーマイル島原発事故,1986年チェルノブイリ原発事故を経て,原子力関係施設等からの影響の有無などの正確な評価を可能とするため,現在では全都道府県で環境放射能水準調査が実施されている. 
 三重県は1988年度から同事業を受託し,降水の全ベータ放射能測定,環境試料および食品試料のガンマ線核種分析ならびにモニタリングポスト等による空間放射線量率測定を行って県内の環境放射能のレベルの把握に努めている.
 さらに福島第一原子力発電所事故後は,国のモニタリング調整会議が策定した「総合モニタリング計画」2) に基づき原子力規制庁が実施する調査の一部もあわせて行っている.
 本報では,2018年度に実施した調査の結果について報告する.
 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 保健環境研究所 〒512-1211 
四日市市桜町3684-11
電話番号:059-329-3800 
ファクス番号:059-329-3004 
メールアドレス:hokan@pref.mie.lg.jp

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